>>354続き)

公開レターポットには2つ意味があります。
まず1つは公開のポットにみなさんがレターを贈ってくださると、このレターは消滅するんですよ。
公開レターポットに贈っていただいた分が運営の利益になります。
この利益でスタッフさんのお給料や先日の成人式の支援のお金を払っています。

そしてもうひとつは、みなさんが考えるきっかけになる。
今度は東日本大震災のことでやる予定にしているのですが、
震災のことは時間が経つとみんな口にしなくなりますよね。
マメにやることで考えるきっかけになっていくのではないでしょうか。

ーーレターポットを使っていると、贈られてくる言葉がすべてポジティブで
  優しい言葉であることに驚きます。これはなぜだと思いますか?

そうなんですよね。僕のとこに贈られてくるレターもポジティブな言葉しかないんです。(※中略)
基本的に寿命がある限りは言葉も有限なので、考えるきっかけになれば面白いですよね。
そういう意味では通貨とか贈り物の役割もあるんでしょうけど、アート作品のような
ものでもあるのかもしれません。みんながもう一度考えるきっかけになる。

ーーこれからレターポットがさらに普及することで世界が
  ポジティブで優しいものになっていくと予想されますか?

小さな一部のコミュニティだけだと考えます。
さまざまな経済圏がありますから、たとえばとにかくお金稼ぎをしたい人もいますし、
お金でお金を作りたい人もいます。数ある経済圏のうちのひとつくらいじゃないでしょうか。

ーー数ある経済圏のひとつとしてレターポットの作る世界があるということですね。

そういう世界を作ることができれば面白いですね。
しかし僕の1番の狙いは、現実世界とファンタジーの境界線を曖昧にしてしまうことです。
「えんとつ町のプペル」の映画が来年公開予定なんですが、実はもともと映画の脚本が先にあって、
その5分の1ほどを絵本にしているんです。
「えんとつ町のプペル」はなんの物語かというと、通貨の話なんですよ。
話の中で使われている通貨の名前がレターなんです。
現実世界でみんなが使っている通貨が、ファンタジーの映画の中に出てきたら面白いなって。
今の僕の興味はそこですね。

取材:三矢晃平/文:BITDAYS編集部/撮影:堅田ひとみ