https://www.facebook.com/AkihiroNishino.official/posts/758325151038516

作り手として、1990年代を経験した人達の幸福と不幸の話。
恩恵を受けた分の代償を支払う時期には来ていると思う。

https://lineblog.me/nishino/archives/9304757.html

90年代病
2017/10/25 10:48

新潮社さんから、事務所宛に質問をいただいた。
僕が全国の図書館(5500館)に新刊『革命のファンファーレ ~現代のお金と広告~』を受けて、納得のいかない部分があったらしく、
「弊社の雑誌インタビューに答えて欲しい」というオファー付きだった。

雑誌掲載となると、新潮社さんの都合でいかようにでも僕の言葉を編集できてしまうので、
「お答えするのは構いませんが、やるならば、お互いの言葉を全文掲載できる僕のブログでお答えします」と、
事務所を通して、お返しした。
ただ、新潮社さんからの質問を全文公開すると、新潮社さんにとって本当に1ミリも得がないと思うので、
個人的には伏せさせていただこうと思っている。
もちろん、先方のご希望があれば、いただいた質問を一文字残らず全文公開して、一つずつ丁寧にお返しするが、
あまりオススメはしない。

「本が売れないのは図書館のせい」という声がある。
たしかに、書籍全体の売り上げは1996年をピークに、そこから以降、右肩下がりだ。
一方、公共図書館の貸し出し冊数は1997年以降も増え続けている。

ここだけ切り取って見ると、「本を貸し出すから、売れなくなった」という言い分も、まぁ分からなくもないが、
ところが1996年以前の数字を見てみると、公共図書館の貸し出し冊数が増えるのと同時に、書籍全体の売り上げも伸びている。
このことから、「図書館が貸し出したせいで」とは言い切れない。

ちなみに、音楽CDの売り上げは1998年をピークに、以降、右肩下がり。
これを受けて、音楽業界は2002年あたりに、コピーコントールCD…つまり、「CDは買わないとダメでーす」という施策を打ったが、
売り上げ向上には繋がっていない。
若者からすると、「コピーできねぇCDなんて、誰が買うんだよ。常にCDを持ち歩かなきゃいけねぇのかよ!」であった。

『本が売れないのは、図書館のせい』
『CDが売れないのは、CDをコピーする人のせい』

時々こういった「移り行く時代と共存するのではなく、移り行く時代を力で抑制する」という悪手が見られる。
普通に考えると、「そりゃ、おめぇ、『携帯電話』や『インターネット』、その他もろもろの「これまで無かったモノ」が出てきたのだから、
単純に、可処分時間&可処分所得の奪い合いに負けただけの話でしょ」となるが、その結論に至らない人がいる。

作り手として『1990年代』を経験した人達だ。

中には、秋元康さんのように、2000年代、2010年代…と、時代に合わせて、広告戦略をアップデートされている人もいるが、
一部、「俺たちは間違っていない。これで結果を出してきたのだから。今、上手くいっていないのは、誰かのせいだ」と、
1990年代で広告戦略が止まっている人がいる。
1990年代は、それほど圧倒的な結果が出たのだ。