>>95から
7.なぜ、プロ野球界では特殊な慣行が認められているのか

 会社員であれば、勤めている会社を辞めたくなれば自由に辞められますし、その
 後どの会社で働くかも原則として本人の自由です。もちろん、会社が「あなたは
 トレードになった」などと言って勝手に次の勤務先を指定することもありません。

 プロ野球界でこのような特殊な慣行が成り立っているのは、選手全員がサインを
 している野球協約と統一契約書があるからです。野球協約は、選手は各球団と所
 属契約をするとしながらも、広くはプロ野球機構という興行主体と契約するよう
 な形を取り、プロ野球という興行を盛り上げるために、A選手はこの球団で役割
 を担い、B選手は別の球団で役割を担うという意味を持たせています。

8.プロ野球選手に決定権はない?

 プロ野球機構が雇い主である会社で、各球団はその中の部署にすぎないのだから、
 どこの部署(球団)で働かせるかは会社が決め、選手に決定権はないというニュ
 アンスです。

 もっとも、これは例え話で、実際には選手は各球団と契約をしています。移籍の
 自由をまったく認めないのは問題があるということで、機構が選手会と話し合っ
 た結果、一定の期間一軍で活躍した選手にFA(フリーエージェント)権を認めた
 り、ドラフトに逆指名(希望入団枠)の制度を導入(現在は廃止)したりした経
 緯があります。しかし、契約期間が満了すれば自由に移籍が認められるプロサッ
 カー選手(Jリーガー)とはいまだに大きな違いがあるといえます。