「ァァァァ…アアアアアジでっっっ!!!!!!」
敵国の王の名が星に付けられたという一報を耳にし激昂するのはもご存知、かつてのスターこと酒井智史。
失敗から何も学ばず表舞台から放逐され、しくじり先生にもなれない単なるデカ尻野郎にとって、
星の命名という栄誉を捧げるほどの信仰心を持つ民を臣下に持つということが何より許せなかった。
「だったら――“星”になればいいじゃん」

ズ ン ッ ! ! ! ! !

「んっ!?懐かしい感触っ!」
「久々に表に出たからな。今の俺の存在感はそこそこだ」
屹立する25cm砲を肛門に突き立てるのは令和の侍。
ブチョッ!ブチョッ!ブチョッ!
木村の役職を示すような激しいピストンが酒井の出入口で湿った音を立てる。

「アイッ…アイイイイイ!!!!!」

久々に味わうそれが比喩ではなく物理的に酒井の内臓をかき回す。
かき回された臓物が液状化し水音を立て始め、猛烈なピストンで圧縮された空気が酒井の腹部を満たしていく。
この構図は――そう、ペットボトルロケットのそれである。

「NGS鯖オールグリーン」
「ヒロ・アライへの接続完了、万一不具合が起きても伝聞形での報告が可能です」
「スガヌマユニット、アクティブ。何の断りもなく打ち上げ出来ます」
「管制スタッフより『イケるかなって』と報告」
「メロンの強化をいたします」
「満足されてしまう懸念、ありません。いつでもどうぞ」
精鋭たちの導きにより発射の準備が整った。
ここまでのピストンで木村のロケットも発射の準備が出来ている。

「イくぞ酒井!なれ!誰にも見つけられていない新しい星になれ!」
「なるっ!俺“星”になるよ木村!」
「3!2!1!」
「アイイイイイイイイイイイイ……!!!!!」
木村の射精と自らの臓物が噴き出す反作用で、酒井が重力を振り切り大空へと旅立つ。
あっという間にビルは豆粒のようになり、驚き指差す眼下の人々の声も聞こえない。
雲を裂き、大気を突き抜け、赤黒い飛沫を噴出しながら酒井は宇宙へと到達した。
こうして星となった酒井だが、自ら光ることもなく、ただそこに居て誰かが見つけてくれるのを待つだけであった。
この場へも他人の力を借りて来ただけの酒井は地上に戻れもしないまま、真っ暗な無の空間を漂う。
今や時折観測される激臭がその存在を感じさせるのみである。