2023.06.22 乗りものニュース編集部

Suicaが首都圏から長野まで使えるようになります。いっぽうで切符のルールに変化があり、「途中下車不可」など意外なデメリットも。何に注意すればいいでしょうか。
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Suica首都圏エリアが長野駅へ拡大

 JR東日本が発行する交通系ICカード「Suica」の「首都圏エリア」の利用可能範囲が、2025年春からさらに拡大します。6月20日の発表によると、もともと長野県の松本市までだったエリアが、篠ノ井線経由で長野駅まで、大糸線は穂高駅まで。計23駅が新たに追加されることとなります。

 これにより、たとえば長野駅で「ピッ」と入場し、東京駅で「ピッ」と出場することができるようになります。特急に乗る場合は別途、車内やホーム券売機で特急券を買うだけで済みます。

 ここで鉄道ファンを中心にSNSで話題となっているのが、長野駅をはじめ当該区間が「東京近郊区間」に組み込まれるのではないかということです。

 JR東日本長野支社にたずねたところ「そのとおりで、Suicaエリア拡大にあわせて、東京近郊区間は長野駅、穂高駅まで拡大されます」との回答でした。

 Suicaエリアと東京近郊区間の拡大、何が一体どうなるのでしょうか。

※ ※ ※

 JRの運賃には特例があり、東京・新潟・仙台・大阪・福岡の5つの「大都市近郊区間」が設定されています。ひとつの大都市近郊区間の中で移動が完結する場合、「最短経路で運賃を計算する」こととなっています。

 ICカードは「乗車駅」「降車駅」の2情報でしか運賃計算できず、厳密な移動距離にもとづく一般の運賃計算ルールを運用できません。そのため、Suicaエリアの拡大と近郊区間の拡大は「不可分の関係」というわけです。

 ちなみに、この「近郊区間の特例」を利用して最大限の鉄道旅行を楽しむのが「150円大回り」というもので、たとえば東京駅から総武線に乗り、千葉から房総半島を一周して我孫子・小山・高崎・大宮・新宿とぐるっと回って……最後に東京駅の一つ手前の有楽町駅で改札を出ても、
ひと駅だけ乗った扱いで運賃計算されるのです。ただし、途中下車はできず、同じ駅や経路を2回以上通ってはいけません。また、移動できるのは当日のみです。

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