2019年10月22日
 多摩ニュータウンはトイレの黄金郷−。多摩市落合のパルテノン多摩で企画展「多摩ニュータウン・トイレたんけん隊」が開かれている。多摩ニュータウン(NT)にある公園のトイレはデザイン性が高く、昭和四十年代から水洗だったことなどを紹介。担当者は「トイレからまちの知られざる歴史が分かると思う」と話す。 (松村裕子)
 多摩、八王子、町田、稲城市にまたがるNTには公園が三百二十五カ所あり、トイレは約四割の百二十四カ所に設置されている。まちが計画的に造られ、オープンスペースが広く、開発した現都市再生機構(UR)や都が積極的に設置したとみられる。ほとんどない千里ニュータウン(大阪府)とは対照的だ。
 NTは一九七一(昭和四十六)年に入居が始まり、当初から上下水道が完備され、トイレは水洗で、洋式を採用。七三年から設置された公園のトイレは、当時、周辺の既存住宅ではくみ取り式が多く、洋式だと使い方を間違うといけないため和式を採用した。
 NTの中でも多摩市のトイレには一部を除き紙がない。以前に燃やされたり盗まれたりしたためという。
 企画展では、公園のほぼ全トイレ約百三十カ所の写真を張り出した。初期には隠し板を張っただけの簡易なつくりもあるが、キャンピングカーをイメージした鶴牧西公園(多摩市)や屋根が銅板ぶきの榎戸公園(同)など、おしゃれなトイレも目立つ。
 公園のトイレは設置以降すべて残っていたが、来秋に多摩中央公園(同)で取り壊しが予定され、現状を記録するため企画した。十一月十一日まで。入場無料。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/201910/CK2019102202000106.html