山口県周南市で逮捕された樋田淳也容疑者が乗っていた自転車=大阪府警提供
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 大阪府警富田林署から逃走し、約350キロ離れた山口県周南市で48日ぶりに逮捕された樋田淳也(ひだ・じゅんや)容疑者は大阪府松原市生まれ。町工場や畑が点在する住宅地で、両親と兄、妹の5人家族で育った。同級生らによると、小学生時代の樋田容疑者はやんちゃで明るい性格。鬼ごっこで逃げることやかくれんぼが得意で、小学校の隣にある幼稚園の屋根に隠れて最後まで見つからず、周囲を驚かせた。卒業文集に「ぼくのうれしいことは友達がいっぱいいること」とつづり、将来の夢は「自衛隊」だった。

 中学校に入ると、不良グループと交際を始めた。同府藤井寺市の工業高校に進学したが、中退。車やバイクの改造に没頭し、警察ざたも起こした。警察官に追われ、自宅の屋根伝いに逃げたこともあったという。

 両親は門限を決めるなど厳格な性格で、樋田容疑者は「家に帰りたくない」と周囲にこぼしていた。一方、兄や妹を慕い、ある同級生の母親は「娘がいじめられそうになった時に守ってくれた」と話す。

 元受刑者仲間の男性らによると、数年前から大阪刑務所で服役。おとなしく言葉遣いは丁寧で、刑務作業で靴などの革製品を作るのが上手だった。「家電を盗むのが得意なんです。欲しいのあったら言うてください」などと話していたという。

 今春に出所。5月中旬、大阪府内のタトゥースタジオに自らウサギの絵柄を持参し、左ふくらはぎに入れ墨を彫った。同じ頃、松原市内のガレージを月7000円の賃料で契約。所有者には「車を置くねん」と話したが、中にはベッドや冷蔵庫などが置かれ、生活拠点にしていた様子だったという。

 5月25日、盗んだバイクを保管したとする盗品等保管容疑で府警に現行犯逮捕され、逃走までの80日間、富田林署に勾留された。

 逮捕前、実家近くで会った知人の女性に、樋田容疑者はこう話したという。「もう悪いことはやめて、まじめになるわ」【土田暁彦、竹田迅岐、柴山雄太】

毎日新聞 2018年9月30日 00時44分(最終更新 9月30日 00時50分)
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