2018年5月18日 18時48分
(写真)
立山駅でケーブルカーを待つ大勢の観光客(1日)


 立山黒部アルペンルートの立山駅と美女平を結ぶケーブルカーの混雑を緩和しようと、運行会社の立山黒部貫光や富山県が今年度、本格的な対策に乗り出す。

 富山県側の入り口にあたる立山駅で長い待ち時間が生じれば、観光客の満足度を低下させかねないためだ。

 連休の合間にあたる今月1日、ケーブルカーの立山駅は観光客であふれかえり、午前10時過ぎには午前中の切符が全て売り切れた。
愛知県刈谷市から訪れた観光客(45)は切符を購入できたが、乗車時間は2時間後。「まさかこんなに待つとは。どうやって時間を潰せばいいものか」と困惑していた。

 繁忙期、立山駅での「ケーブルカー待ち」は常態化している。特に入山者が多い午前が深刻で、待ち時間は5時間に及ぶこともある。立山駅から先はマイカーの乗り入れが制限されているため、
ケーブルカーに乗らなくてはならないが、乗車定員の制約から1時間で約700人しか運べない。そのため、鉄道やバス、マイカーで続々と集まる観光客が立山駅で滞留してしまう構図だ。

 そこで、ケーブルカーを運行する立山黒部貫光は梅雨明け以降、ケーブルカーの始発時間を現在の午前6時から5時台に前倒しすることを検討している。早朝から入山する客を早めに運ぶことで、混雑の緩和を図るのが狙いだ。

 同社はこのほか、繁忙期に立山駅と室堂を結ぶ臨時バスの運行も計画している。ただ、バスは有料道路を通る必要があるほか、自社のバスが足りず他社の車両を使うことが多いため、ケーブルカーを運行するより経費がかさむという。

 県も「アルペンルートの入り口で長時間待たされると、立山黒部の印象が悪くなってしまう」(県幹部)との認識で一致しており、今年度予算で180万円を計上し、臨時バスの運行経費を一部助成する。

 県観光振興室の担当者は「待ち時間を減らし、快適に観光を楽しんでもらうことで、立山黒部のリピーターを増やしたい」と期待している。

http://www.yomiuri.co.jp/national/20180518-OYT1T50065.html