地方の人は知らないだろうけど、京都や奈良には士農工商以前からの部落がある。
そこに住む人たちは、かつて「御穢多さま」と呼ばれた人々だ。

つまり、ケガレ仕事を生業にしているが、一般市民より格上のアンタッチャブルなので、彼らだけの集落を作っていた。
それは、宮中の人たちの遺体を清め、葬儀に向けて遺体を整える仕事をしていた人たちだ。

たとえご遺体であっても、宮中の人たちの身体に一般人が触れることは許されない。
かと言ってご遺体はケガレを持っているので、宮中の人たちはさわれない。

そこで活躍したのが「御穢多さま」たちなのだ。この職業は世襲制で、江戸時代まで続いていた。
今でも密かに残っているかも知れないが、それはわからない。

京都の部落は、江戸時代の部落制度以降、それが入り混じってややこしくなっている。
特に明治以降、被差別部落の人の中には「自分たちは御穢多さまの末裔だ」と主張する人まで現れたという。