http://www.sankei.com/smp/west/news/180131/wst1801310031-s1.html
2018.1.31 14:30

 広島市は平成30年度、首都圏など都市部から市内中山間地への就農、定住を促す新たな事業に乗り出す。現地見学・就農体験ツアーのほか、空き家の提供や地域住民との交流など趣向豊かな計画を検討しており、関連費を30年度当初予算案に盛り込む。

 市は若い農業経営者を育成し、定住者を増やす地域活性化に弾みをつけたいとしている。

 計画では、旅行業者に委託し、就農意欲のある40歳までの首都圏在住者ら20人程度を募集。今夏に2泊3日の日程で、市内中山間地の実地研修予定地をめぐる現地見学・就農体験ツアーを実施する。

 コマツナなどの葉物野菜の栽培見学や、先輩就農者や地域住民との交流会などを予定している。

 その後、就農を決めた人は、市農業振興センター(安佐北区)のビニールハウスで1年間、苗を育てたり、農機具で土壌管理をしたりして研修に取り組む。2年目からは、就農予定の土地で野菜栽培を含め、農業経営の実習をする。研修後の実際の経営では、ビニールハウスの整備費の約半分を市が補助する。

 また市は、地域住民や宅地建物取引業者らと協力し、居住可能な地域の空き家状況を把握。就農者への定住に向けた情報提供のほか、定住者同士の交流会も開催する。

 これまで市は、葉物野菜農家の育成を中心とした「ひろしま活力農業経営者育成事業」を展開し、昨年12月までに36人が就農したが、その地域での定住者は約半数にとどまる。

 そのため30年度の募集者からは、就農地域への定住を前提条件とし、ツアーも初めて企画する。

 市によると、中山間地域は市内面積の約7割を占めるが、人口は市内全体で18〜28年度に3・2%増えたのに対し、中山間地は8・7%減で、高齢化も進んでいる。