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篠田さん(右)にナマハゲの衣装を着せる三浦さんら(23日、男鹿市船川港双六で)


 秋田を代表する民俗行事で大みそかの風物、「男鹿のナマハゲ」が、人口減や少子高齢化を反映し、担い手確保に苦心している。

 秋田県男鹿市の双六(すごろく)集落では、集落出身者でない若者をナマハゲ役として受け入れ、行事を存続させている。

 1978年に国の重要無形民俗文化財に指定されたナマハゲ。行事は本来、集落に住む若い男たちが異形の面をかぶり、ワラでできた衣装を身にまとった「ナマハゲ」に扮(ふん)し、家々を訪問。
「泣く子はいねがぁ(いないか)」などと言い、子どもを戒める。しかし、56世帯の双六集落では、市外に住む集落の出身者でない若者をナマハゲの担い手として受け入れ、行事を存続させている。

 男鹿市教委によると、市内147町内会のうち、「担い手がいない」などの理由で、現在は86町内会での実施にとどまっている。40年前の77年は実施率が95%を超えていた。

 中心部から離れた双六集落でも、若者の流出が年々深刻化し、20〜30歳代がめっきり減った。毎年、ナマハゲ4体が20世帯ほどを回っているが、ナマハゲを担うのは60歳以上が中心だ。

 「このままでは近い将来、ナマハゲをやれる人はいなくなる」。
約10年前、集落のナマハゲ行事を取り仕切る三浦幹夫さん(68)が危機感を抱き、「ナマハゲやりたいっていう若者がいたら紹介してほしい」と市に相談し、存続を図っている。

 2012年には、秋田市の国際教養大に留学中のブラジル人とウルグアイ人に協力してもらった。以来、毎年3、4人ほど市外に住む集落の出身者でない若者たちをナマハゲ役として受け入れている。

 昨年からは集落出身で、秋田市に住む秋田大4年の篠田恭介さん(22)が橋渡し役となり、友人を連れてきている。今年は、秋田市に住む秋田大生と、長崎県出身の社会人男性とともに参加する予定だ。

 他の集落からは「地域の神聖な行事になんでよそ者を入れるんだ」などと反発を受けたこともある。
三浦さんは「先祖から受け継いだものだからこそ、続けることが何より大事。市外の人に魅力を知ってもらうことにもつながる」と話す。

 篠田さんは春から社会人になる。「年末は毎年友人を連れて、ナマハゲを続けたい」と話しており、三浦さんも「私が元気なうちは絶対に行事を途絶えさせない」と意気込んでいる。

 男鹿市教委によると、ナマハゲのなり手として「よそ者」を継続的に受け入れているのは双六集落のみ。
市教委の担当者は「市外の若者を受け入れている双六集落の動きがもっと広まれば」と話している。


ナマハゲ助っ人いねがぁ…出身者以外も「歓迎」
読売新聞:2017年12月27日 07時37分