兵庫県南あわじ市は、淡路島と四国を結ぶ大鳴門橋(1629メートル)に
鉄道を敷設するため造られた橋の下部について、観光への活用の可能性を探る調査を始めた。

トロッコ列車の運行や遊歩道の整備などの案もあり、兵庫、徳島両県や同県鳴門市、淡路島の各市と連携して
国や、橋を管理する本州四国連絡高速道路に働きかける構えだ。

大鳴門橋は、上部が自動車専用道路、
下部は新幹線規格の鉄道を通す計画で建設された2層構造の道路・鉄道併用橋。
神戸淡路鳴門自動車道として1985年に開通したが、鉄道の敷設計画は具体化していない。

下部のうち、徳島県側の約450メートルは海上遊歩道「渦の道」として整備され、2000年に開業。
床のガラス越しに45メートル下の渦潮を見ることができ、観光客の人気を呼んでいる。

南あわじ市は、関西や四国で増えている外国人旅行者を淡路島に呼び込むには、
島の南と北を結ぶ周遊ルート作りに取り組む必要があると判断。
「鳴門の渦潮」の世界遺産登録を目指す官民の運動も背景に、淡路島側の橋の下部を活用する構想が浮上した。

市単独ではなく、周辺の自治体や民間団体と協力して進める方針で、既に打診を開始。
守本憲弘市長は7月、国土交通省を訪れて構想に対する意見を求めた。

ただ、鳴門海峡は風が強く、橋に新たな構造物を設けると強度に影響する恐れがある。
市は、トロッコ列車を短区間の遊技施設のような形で実現できないか、様々な可能性を検証したいとしている。

8月に洲本市で開かれた淡路島3市の市長らと井戸知事の意見交換でも、守本市長が構想を説明。
井戸知事は採算性などの課題を指摘しつつも、「活用を考えていい時期になっている」との認識を示した。

一方、紀淡海峡をまたいで本州と四国を結ぶ新幹線の整備構想があることを踏まえ、
「四国の経済界は今も新幹線の実現に期待しており、下部の他用途転用はそれを遠ざけると受け取られないか。
 安全性の観点からも慎重な検討が必要だ」との声もある。

写真:新幹線を通せる規格で造られた橋の下部
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20170906/20170906-OYT1I50027-L.jpg
写真:下部の活用について検討が始まった大鳴門橋
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以下ソース:YOMIURI ONLINE 2017年09月06日 20時50分
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20170906-OYT1T50051.html