2022年9月、ある夫婦の会話 ※特定のモデルはありません

「おい、今帰ったぞ」

「…おかえりなさい。お食事にします? それとも…」

「おっとその前に、30万ほど出してくれ。手持ちじゃ足りなくなっちまったんだ」

「まあ」

「3連続ラス引くし、大三元に振り込むし。今日はツイてねぇや。ダチが外で待ってる、払ってくれよ」

「今、手元には20万円ぐらいしかありません」

「ちっ、しようがねぇな。じゃあいいよ、あるだけでも」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あなた。今日は予備校じゃなかったの?」

「予備校? ああ、今日で辞めちまったよ」

「なんですって」

「俺には国際弁護士なんて無理だわ。30にもなって、辛気臭い参考書とにらめっこにも飽きたしな」

「法律事務所も辞めちゃうし、来月から私たちはどうやって生活していけばいいの?」

「結婚のときにもらった一時金があるだろ?」

「あれは、私の考えで毎月もらうようにしました。今月分はさっきの支払いでもうありません」

「じゃあオヤジさんから引っ張れよ。いくらでも出してくれるだろ?」

「先月、あなたの予備校の受講料だと言って50万円もらってきたばかりです」

「ちっ、しようがねぇな。…オイそれよりオジヤでも作ってくれ。麻雀はボロ負けするわ発泡酒飲み過ぎたわでゲロ吐きそうだわ」