>>350
『錬金喜劇』

わが肉体も 錬金術の冴えも すでに頂を過ぎ
後は おとろえていくのみ… …。
我の才覚は ついに 師に遠く及ばなかった。

かくなる上は 禁断の秘法に 手を伸ばし
他の錬金術師たちの 知識と技術を食らってでも
生き延びるよりほかにない。

たとえ 外道に堕ちようとも 真理に挑むことを
あきらめたならば わが人生は意味を失い
ただの喜劇となるのだから… …。    バルザック