橋本愛喜 | フリーライター
9/23(水) 7:01

日本人のルールやマナーに対する従順さは、国内のみならず、もはや世界中に知れ渡る「定説」となっている。

電車のホームのドア位置には毎度線からはみ出ることのない綺麗な列ができ、電車が到着すれば誰に言われるでもなく左右に分かれ、降りる人を待つ。
コロナ禍においては度が過ぎた一部の人らが「自粛警察」や「マスク警察」となり、他人のルールやマナーにまで目を光らせ議論を呼んだ。

が、そんな表面上の実態とは真逆の現象に毎朝対峙している人たちがいる。

ごみ収集員だ。

「出されるごみの分別方法は年々悪くなってきています。単身者向けの賃貸アパートや集合住宅はその傾向が顕著です」(栃木県30代女性)

「一度いらないと思った物は、もうどうでもいいんでしょうね。その先にそれを処理する人間がいることなんて考えていない。日本人はマナーがいい?『マナーがいいように見せるのがうまい』だけだと思いますけど」(岡山県30代男性)

彼らが「ごみ」を通して見る日本の「マナー」と「コロナ」と「人権」。
16名のごみ収集員から聞いた話をまとめ、今回から数回に分けて紹介していく。



<集積所間をダッシュ「すぐに靴履き潰す」>

彼らごみ収集員の朝は早い。

各地域自治体や収集するごみの種類などによって事情が違うため一概には言えないものの、その多くは事務所に朝7時前後に集合し、当日回るルートを確認した後、事業系ごみは1人で、家庭ごみは2−3人が組となり、それぞれのパッカー車(ごみ収集車)に乗り込む。

一般的なパッカー車が1日に回る集積所は150−200か所ほど。
1度に集められるごみ袋の数は約1000袋で、車内がいっぱいになる度にクリーンセンター(焼却施設)と現場を1日平均4−6往復ほどしながら収集していくのだが、道中は常に「時間との闘い」になるのだという。

その主たる理由は、交通・通行の邪魔にならないようにするため、そして、時間通りに収集するためだ。

「道幅や交通量などによってあらゆる作業状況がある中、ゆっくり積み込みしてたら、パッカー車の後ろに渋滞が起きるんです。中には『あおり運転』のように、作業員にぴったりクルマを寄せてくる後続車もいます」(大阪府40代男性)

「10本の指にかけられるだけごみ袋を引っ掛けます。小指が変形した方もいました」(京都市40代男性)

「事業系ごみの収集は1人で運転・作業をするので、クルマを止めたらダッシュで積み込み、またダッシュでクルマに飛び乗って運転します」(千葉県30代男性)

彼ら収集員は、次の集積所までそれほど距離が離れていなければ、その間を自らの足で走る。
いちいちパッカー車に乗り込むより効率が良く、時間ロスを抑えられるからだ。

「1日7-8kmくらいは走ってるんじゃないですかね。靴はすぐに履き潰します」(埼玉県30代男性)

「時にはパッカー車より先回りして、ごみを収集しやすいようスタンバイしたりもします」(東京都50代男性)

昔は時折パッカー車の後部に掴まって立ち乗る、いわゆる「ステップ乗車」をする姿があったが、事故が相次ぎ今では道路交通法で禁止されている。
中には「80歳近い高齢作業員も現場をひたすら走る」、「今年の夏はコロナ禍でマスクを着用しながら走っていたため、熱中症になる作業員が相次いだ」という声もあった。

さらにはこんな話も。

     ===== 後略 =====
全文は下記URLで

https://news.yahoo.co.jp/byline/hashimotoaiki/20200923-00199596/