森岡 英樹 4時間前
source : 週刊文春 2020年5月21日号

 キヤノンは5月1日、御手洗冨士夫会長兼最高経営責任者(CEO、84)が社長を兼務すると発表。真栄田雅也社長兼最高執行責任者(COO、67)が健康上の理由から退き、技術最高顧問に就任した。

 今回で3度目の社長就任となる御手洗氏を市場は冷ややかに見ている。

「市場ではキヤノン低迷の原因を御手洗氏が実質25年もトップに君臨していることもその一因と見る向きがある。社長復帰の発表後、株価は下がりました」(市場関係者)

 だが、御手洗氏は全く気にしていないという。

「御手洗氏はもともと我が道を行くタイプ。長期政権を批判されても『任期が短ければ社長はできない。GEのジャック・ウェルチは20年やっていた』と語っています」(親しい財界幹部)

 初代社長の甥にあたる御手洗氏が最初に社長に就任したのは1995年。カメラや複写機、プリンタに事業を集中させ、売上高営業利益率15%超と欧米のトップ企業なみに引き上げた。

 御手洗氏は経団連会長に就いた2006年、いったん社長を退き会長に。経団連会長を退任した10年から陣頭指揮をとり、12年に再び社長となった。

「20年に売上高5兆円」

 御手洗氏はそうぶちあげ、東芝メディカルシステムズを買収して医療機器に参入するなど、M&Aを行って新規事業を進めてきた。

「御手洗氏は朝4時に起きて7時に出社し、8時前から役員を集めて朝会を開く。御手洗氏は社長を退いていた時期も朝会を仕切り、『君はこんなことも知らないのか』と叱責したり、社長に全権を任せず指示を出していた。そのため、御手洗氏に異を唱えられる人はいないのです」(証券アナリスト)
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