モテない――ただそれだけで大量殺人を犯す“童貞”は、なぜ誕生したのか?
『アメリカ炎上通信 言霊USA XXL』――「インセル(望まない禁欲者)」より

町山 智浩 5時間前

 ガタガタのトランプ政権下のアメリカでは、相も変わらず差別やテロ、デモが横行中。そんなアメリカで話題となった、もっともインパクトのある発言・暴言を取り上げるコラム「町山智浩の言霊USA」のシリーズ最新版『アメリカ炎上通信 言霊USA XXL』が9月27日に発売される。この最新コラムから選りすぐりの全3本を公開! 第1弾は「インセル Incel 訳・望まない禁欲者」

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モテない。ただそれだけで、無差別大量殺人を犯すテロリストたち

 秋葉原の歩行者天国で、加藤智大(当時25歳)がトラックで人混みに突っ込んだ上にナイフで通行人17人を無差別に殺傷してから10年後の今年、4月23日、カナダのトロント市の繁華街でアレック・ミナシアン(25歳)が自動車で通行人10人を轢き殺して逮捕された。

 ミナシアンは犯行直前、SNSに次のような投稿をしていた。

「インセルの反逆はもう始まった。チャドとステイシーの支配を打倒せよ! 偉大なるエリオット・ロジャー万歳!」

「インセル(Incel)」とはInvoluntary Celibate(望まない禁欲者)、つまり童貞のこと。英語版の2ちゃんねる、4chanで、本人たちが自称するようになった。チャドはモテる男性、ステイシーはモテる女性を意味するインセル語。エリオット・ロジャーは、2014年にカリフォルニアで、モテないことを理由に、銃とナイフで6人を殺した青年の名前だ。

 モテない、ただそれだけの理由で、無差別大量殺人を犯すテロリストが日常に潜んでいる! 驚いたマスコミは、現在インセルの中心になっている「インセルス・ミー」という匿名掲示板を覗いて、さらに慄然とした。そこには女性や、恋愛ができる男性に対する凄まじい憎悪が渦巻いていた。
https://bunshun.jp/articles/-/14000

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