千葉県野田市の小学4年栗原心愛みあさん(10)が死亡した事件で、心愛さんが虐待を訴えたアンケートの回答を市教育委員会が傷害容疑で逮捕された父親に渡していた問題を巡り、市には全国から抗議が殺到し、4日夕までに電話とメールで計3300件近くに上った。一方、同市では2005年にも未就学児の虐待事件があり、市の不手際が指摘されていた。市議会からは「教訓が生かされていない」との声も上がっている。

 抗議は読売新聞がこの問題を報じた1月31日朝から始まり、翌1日までの2日間で電話が830件あった。内容は「これから子供はどうやって助けを求めたらいいのか」「教育現場の信頼をどう回復するのか」「だれがどうやって責任をとるのか」など市教委や市に対する批判が大半だという。

 職員はその電話を受ける度に「申し訳ありません」と頭を下げて謝罪。「二度とこうした事件が起きないように対策を考えます」などと応じている。

 電話は当初は市教委幹部が対応していたが、市役所の業務全般に支障を来すほど殺到する事態になったため、2日に庁舎内に「コールセンター」を設置。電話回線を8本増設して庁内各部署から幹部職員が交代で対応しており週末も電話は鳴りっぱなしだった。4日夕までに全国から寄せられた電話は計1906件、メールは1383通に上った。

 同市では05年10月、当時5歳の長女と3歳の長男にライターでやけどを負わせるなどの虐待をしたとして、母親と同居の男の計2人が傷害容疑で逮捕される事件があった。

 近隣住民の通報から1か月以上、市が事態を把握できなかったことから、当時の市長は「関連機関との連携を一層図り、子供の所在が確認できない場合には児童相談所を通じて警察署へ立ち入り調査を要請したい」と市議会で答弁していた。

 今回の事件を受け、最大会派の会長を務める竹内美穂市議は「あの時の教訓がなぜ生かされなかったのかをまず検証する必要がある」と指摘。別の市議は「人と人とのつながりが希薄な地域で起きた気がするが、どうすればいいのか」と言葉少なだった。

読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/national/20190205-OYT1T50148/