棚橋咲月2018年8月5日14時06分
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犬の聴診モデル。聴診器を当てると拍動が聞こえる=山口市吉田の山口大


 山口大と鹿児島大の共同獣医学部が、学生の実習で使う動物を、生きたものから模型に切り替える取り組みを進めている。教育のレベルを保ちつつ、動物に苦痛を与えないという「動物の福祉」の面でも国際標準に引き上げる試みだ。
 5月中旬、山口大(山口市)の「クリニカル・スキルスラボ」で、5年生たちが牛の直腸越しに子宮を触診する実習をした。使ったのは模型。子宮の部分は妊娠後の経過日数ごとに大きさや触感が異なる3種類があり、付け替えも可能だ。

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子牛のモデル。綱を結ぶ練習に使う=山口市吉田の山口大

 獣医学部の実習では通常、生きた動物(生体)を使う。ただ実習用に使える数は限られる。山口大は1学年30人ほどがおり、全ての学生が触れると動物に大きな負担がかかる。
 そこで2022年3月末の完了をめざし、1〜4年生の実習で生体から模型への切り替えを進めている。ラボには成牛や子牛、馬、
犬など12種類の動物の模型が計25並び、聴診や採血、縫合などを練習する。NPO法人「地球生物会議」によると、他の大学と比べて模型が充実しているという。

 実習を指導する木曽康郎教授(64)は「模型を使うのは効率がいいし、同一水準で教育できる」と意義を語る。森永有紀さん
(25)は「生体でいきなりやっても、勘所をつかむまでには時間がかかる。模型であれば器官の位置をイメージしやすい」と言う。
https://www.asahi.com/amp/articles/ASL676THCL67TZNB013.html