2018年04月09日 11時00分 公開
「彗星でみんな窒息する」 天文学者「そんなこと言ってない」 昔からある”彗星デマ”とは?
はた迷惑なデマは今も昔もなくならない。
[てんもんたまご,ねとらぼ]

 肉眼でも確認できるほどの彗星の接近といえば、今や一大エンターテインメントともいえる大イベントです。
近年では社会現象になるほどの目立った彗星はありませんでしたが、1986年の「ハレー彗星」ならば覚えているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 しかし、科学的に正体が解明される前に観察された彗星は、夜空を脅かす“天変地異の前触れ”と捉えられていました。今回は、歴史の中で本当にあった「彗星デマ」を取り上げていきます。


彗星は宝石をもってくる!?(1742年)

 モーペルチュイはフランスの数学・物理・天文学者です。「最小作用の原理」を提唱し物理学へ貢献した一方で、地球の形状測定のために隊長として極地へも赴き、軍人としても活動したパワフルな一面も持つ学者です。

 しかしそんなモーペルチュイも彗星に関しては「目もくらむような宝石の連なり」「彗星にはある種の人類が住んでいる」と考えていたようです。デマというよりは夢のような話ですが、当時としてはまだまだ真面目な考察だったのです。


(イラスト)
SFならばなかなか夢のある話だけれど……


彗星で洪水が来る……なんて言ってないよ!?(1773年)

 フランスの天文学者ラランドは、1773年の4月に「地球への彗星の新しい接近の影響」という論文を提出しました(以前「ねこ座」を設定しようとした天文学者として紹介した、あのラランドさんです)。
この論文自体は、数式ばかりで構成され、61個の彗星軌道と地球との位置関係に関する単純な表でした。もちろん、地球と衝突するような彗星もありません。

 しかしこの論文は誤解を生じるような題名だけがフランス中へ広がり、尾ひれが付いていく内に「彗星が1773年5月に地球を破壊する!」「大洪水が起きる」というデマに生まれ変わってしまいました。

 こうなるとメディアも市民も大パニック! ラランド本人も「私はそんなことは言っていない」と声明を出しても耳に届かず、40時間の祈祷式が企画されるなどの騒ぎとなってしまいました。


(イラスト)
パニックが起こると学者本人にも止められない

彗星が来たらうまいワインが飲める!?(1811年)

 彗星のデマは地球の破滅などの災難ばかりではありません。ローマ時代から「大彗星が来ると気温が上昇し、良質なワインが作れるブドウができる」という迷信がありましたが、これはなんと19世紀まで信じられていました。

 1811年の大彗星の時にも、良質な“彗星ワイン”が高値で取り引きされ、大きな利益をもたらすこととなったのです。


彗星が衝突する!?(1857年)

 1857年のロンドンの大ベストセラーが『大彗星がいま急速に近づき、地球と衝突する?』でした。

 ベッドフォードという著者の書いたこの怪文書では「病人の家から出る汚れ物や廃物は全て遠くへ捨てること、排水路を十分点検すること、古着は処分すること」
など“生存戦略”がつづられています。街頭で販売されたパンフレットにもかかわらず、1万6千部があっという間に売れてしまいました。

 もちろん、予言された彗星は現れませんでしたが、翌年現れたドナチ彗星をみて慌てた人もいたそうです。


彗星でみんな窒息する!?(1910年)
     ===== 後略 =====
全文は下記URLで
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1804/09/news032.html
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