ローマ=河原田慎一2017年12月9日17時29分
シェア

写真・図版
観光客が次々とコインを投げ入れる「トレビの泉」=ローマ、河原田慎一撮影
http://www.asahi.com/articles/ASKD951JXKD9UHBI00Q.html?iref=sptop_8_07


 ローマにある世界的な観光名所「トレビの泉」に投げ入れられたコインが、来春から市の収入の一部になる。これまでカトリックの慈善団体に寄付されていたが、
市と団体との間の契約が来年3月末で切れるからだ。財政難に苦しむ市が、契約終了を機に、名所がもたらす「収益」に目をつけた形だ。

 トレビの泉は、泉に背を向けてコインを投げ入れると、またローマに戻ってこられるという言い伝えがあり、映画「甘い生活」や
「ローマの休日」にも登場した名所。世界中から訪れた観光客で連日にぎわっており、昨年投げ入れられたコインの総額は約140万ユーロ(約1億5800万円)に上る。

 市の担当者はトレビの泉がもたらす収入について「様々な社会福祉事業に使いたい」としている。
だが友人と3人でトレビの泉を訪れた地元の女性(68)は「この団体の慈善事業に貧しい人が長い列を作っているというのに、街の清掃すらできない市の収入になっても
政治家のポケットに入るだけ。本当に必要な人のために使われるべきで、信用できない」と憤った。

 慈善団体側は朝日新聞の取材に対し、「そうした話があるとは聞いていない」とコメントした。(ローマ=河原田慎一)