福岡、大分両県に大きな被害をもたらした九州豪雨は8日、発生から4日目となり、福岡県朝倉市で新たに3人の死亡が確認され、犠牲者は計18人になった。同市黒川地区で7日に遺体で発見された母子は、江藤由香理さん(26)と長男の友哉ちゃん(1)と確認された。由香理さんは8月に第2子を出産予定だったという。

 朝倉市黒川の倒壊した家屋から見つかった由香理さんは、1歳の友哉ちゃんをかばうように腕に抱いて、倒れていた。第2子がおなかにおり、出産を間近に控えていた。新しい家族が加わるのを楽しみにしていた母子を襲った突然の悲劇。近所の住民や友人らは、早すぎる別れを悲しんだ。

 「子どもに向き合う母の顔になっていたのに」。幼なじみだった女性(26)は昨年7月、東京から朝倉市に帰省し約5年ぶりに由香理さんと再会した。お店での昼食の際、友哉ちゃんはしきりに動き回っており「根気強く食事を食べさせてあげる姿が印象に残っている」と語った。

 由香理さんは今回被災した黒川地区の実家を出て、市内の別の場所で暮らしていた。実家近くの住民によると、2人と一緒に遺体で発見された母の渕上麗子さん(63)は江藤さんの体を気遣い、病気になれば心配そうにしていたという。江藤さんも頻繁に梨農家を営む実家に帰っていた。

 関係者によると、8月に第2子を出産予定だった。幼なじみの女性は「出産の準備もあり、実家に戻っていて巻き込まれたのだろうか」と声を落とした。

 川沿いの2階建ての実家は激しい水の力で10メートルほど流され、1階が完全につぶれて倒木が流れ込んでいた。鉄砲水が家を襲ったとみられる。周辺住民が消防関係者から聞いた話では、3人はいずれも家の下敷きになっていた。発見後、家を出ていて無事だった由香理さんの父が、被災現場で3人の遺体に寄り添っていたという。

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江藤由香理さんと友哉ちゃんが被災したとみられる現場(7日=共同)