アベノミクス継承「菅政権」は「留学生30万人計画」の悲劇防げるか(上)
https://www.fsight.jp/articles/-/47343
 一方、安倍政権が犯した最大の「罪」が、アベノミクス「成長戦略」に掲げた「留学生30万人計画」の推進だった。

アベノミクス継承「菅政権」は「留学生30万人計画」の悲劇防げるか(下) 
https://www.fsight.jp/articles/-/47344
 9月16日に内閣総辞職した安倍晋三政権は、留学生の就職率を上げる方針も打ち出し、「留学生30万人計画」
と並んで成長戦略に掲げた。その結果、日本で就職する留学生の数は、2018年には過去最高の2万5942人に
達し、2012年の約2.4倍にも膨らんでいる。
 この政策を安倍政権は、「優秀な外国人材」の確保策だと位置づけて推進した。留学生は「優秀」との前提に
立ってのことである。
 しかし留学生には、少なくとも学力や語学力の面で「優秀」とは呼べない偽装留学生が数多く含まれる。そんな
ことには全く触れず、留学生の就職を増やしていった。それもまた、低賃金の労働者を確保するためである。

 実は、安倍政権で外国人労働者の受け入れ拡大を主導し、メディアで最も積極的に発言を続けていたのが
官房長官としての菅氏だった。

 菅新首相は、
「外国人材の働きなくして日本経済は回らない」
 と当たり前のように述べている。自らの知人が経営する介護施設のような職場であれば、外国人労働者なし
では「回らない」のかもしれない。だが、外国人の受け入れがもたらすリスク、そして何より人手不足の実態に
関する分析を、どこまでしたうえでの発言なのか疑問だ。
 発言はコロナ禍以前のものであり、首相となった現在も同じ見解でいるのかどうかは知れない。だが、コロナ禍
で「人手不足」にコペルニクス的転回が生じ、近い将来、「人余りの時代」が来ないとも限らない。そうなったとき、
受け入れた外国人を母国へ追い返すつもりなのだろうか。

 菅首相はアベノミクスの継承を打ち出しているが、外国人労働者が必要ならば、自らが主導した特定技能の
趣旨を守り、推進すればよい。「30万人計画」の誤りは認め、すぐに廃止すべきである。