【大学】なぜ日本の大学は世界にこれほど遅れをとっているのか─「スーパーグローバル」になれない3つの要因 ★3
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ttps://courrier.jp/news/archives/182806/
テンプル大学ジャパンでアジア研究ディレクターを務めるジェフ・キングストン曰く、各大学が英語での論文を
増やすべきなのに、学者たちにはそのモチベーションがほとんどないという。

「『パブリッシュ・オア・ペリッシュ(論文などを書かない学者は消滅する)』という精神は存在しません。
一度採用されれば、在任期間は自動的です。ですからアメとムチもなくやる気にさせるのは難しいわけです」

さらにやっかいなことに、日本の大学では1990年代まで、そもそも研究活動自体が重視されていなかった──と
言うのは、香港大学の助教授で教育について研究しているR・ヒューゴ・ホルタだ。

「つい最近まで、大学の役割は別の場所で生み出された知識を集めて統合する場所であって、創造する場所では
なかったのです」

ソフトバンクやソニーといった日本のテクノロジー企業が、同国の研究開発をけん引しているとキングストンは言う。

「これらの企業が競争力を保ち、その直接的な動機がある一方で、大学は学術研究など重視しない管理者が
運営するお役所にすぎないのです」

もうひとつの課題が、公的資金の不足だ。2016年に日本政府が大学教育に投じた費用は全体の1.6%に過ぎず、
OECD諸国で最低ラインだ。OECD諸国の平均は2.9%となっている。

「政府は高等教育にほんの少ししか投資せず、彼らに助けなしで順位を上げることを期待しているのです。
安倍首相らしい中身のない、政治的なスタンドプレーです」

キングストンはアベノミクスの「第三の矢」である経済成長戦略に言及しながら言った。この戦略には、2023年までに
37の大学を国際化して「スーパーグローバル大学」を創生するプログラムや、日本に学びに来る外国人学生への
奨学金授与などが含まれる。
「ジャパンタイムズ」紙によると、日本の大学は順位アップの前にもっと改革の必要があるという。

日本の大学のTHEランキングスコアの低さは、その「国際観」ゆえでもある。外国人留学生、外国人教職員、
国際的コラボレーションなどの割合をもとに100点満点で評価されるカテゴリだ。


東京大学の北村准教授は、日本は「グローバリゼーションを推し進めるべきだ」ということに同意しつつも、
いくつかある長所が見過ごされていると感じている。

「理系の課程では、学生たちが実験室中心の教育を受けられます。学びと研究実践が同時にできるんです」

人文学では、学生が国内で著名な学者と一緒に研究でき、「アメリカの有名教授たちとはそんなことができない」
と北村は付け加えた。

THEなどの国際ランキングで上位を狙うより、日本の大学は地域と特定産業に特化したランキングに焦点を
合わせるべきだ、と松永をはじめとした学者たちは言う。たとえば、ノーベル賞受賞者数やその大学から優れた
実業家が出ているかどうかが指標となるランキングだ。

「非英語圏で同じ状況に直面している研究分野はたくさんあります──工学、臨床医学、社会科学、人文学など。
私たち独自のランキングをつくるのもありかもしれませんね」