普段何気なく過ごしている市街地の都市空間、とりわけ街並みについてどの様な印象をお持ちでしょうか。街並みと言っても、
住宅街、商店街、オフィス街など様々ありますが、道路に立つと、私たちの視界に飛び込んでくる施設は、
主に、道路、道路工作物、建築物、外構、看板、電柱、樹木といったものに分けられると思います。
そして、建築物や外構などの公共施設以外の施設の視界に占める割合が意外と多いことに気づくと思います。
このように、街並みなどの都市空間の印象には、道路や公園などの公共施設よりもむしろ、
個々の建築物、外構、看板が大きな影響を与えていると言えます。

ところで、日本の都市は、これまで他の先進国に比べ、都市空間が貧弱であると言われてきました。
これは、様々なデザインや規模の建築物が混在し、統一感が失われた都市空間が広がってしまったためであり、
このような街並みはいろんなところで見受けられます。

では、なぜこのような街並みが数多くできあがってしまったのでしょうか。
その理由として、敷地の形状や経済活動の結果など様々な原因が考えられますが、
日本人の「内部」と「外部」の空間に対する意識もその理由の一つとして挙げられるようです。
それは、西欧人がまちと家とを空間領域として同視していることに対し、
日本人は、家の外と内で空間領域を分けて捉えているため、日本人にとって
「外の空間」となる家の外は、自分とのかかわりのない「外の空間」として意識され、
この「外の空間」を豊かにするという考えは生じにくかったということらしいのです。
http://www.nikkaniwate.co.jp/eyeOfEngineer/pdf/eye_32.pdf