新政府の要人たちの多くは、知識や語学力はあっても、品性や美学は甚だしく欠如していた。
その代表が伊藤博文だが、木戸考允も大久保利通も、道徳的に高い評価を下すことは困難である。
彼らは皆、政治の手腕はあったとしても、哲学がなかった。
西郷隆盛に至っては、悪い意味で「一世代前の人物」だろう。

『明治時代という幻想 暴虐の限りを尽くした新政府軍の実像』洋泉社、2016年
著者:森田健司(兵庫県神戸市生まれ、専門は社会思想史)