「後払いの商品購入で即日現金報酬」…実態はヤミ金商法 専門家が注意呼びかけ

「代金は後払い 現金報酬の即日受け取り」。ある業者はネット上で、円と米ドルなど2国間の通貨を売買して差益を得る「外国為替証拠金取引(FX)」ができるプログラムの販売名目で利用者を募っている。プログラムを利用した感想をネット上に投稿すれば「宣伝協力の報酬」が支払われる仕組みだ。

 プログラム代金の支払いは1カ月先に設定されており、報酬の2倍程度の額が必要だ。申し込み時点で手持ち資金を用意する必要がない一方で、「審査」と称して顔写真付きの身分証明書などが要求される。

 この取引に応じた男性から相談を受けた「大阪クレサラ・貧困被害をなくす会(通称・いちょうの会)」事務局次長で、司法書士の前田勝範さん(51)は「商品売買の形を取っているが、現金を貸し付けるヤミ金と同様だ」と指摘する。報酬と代金の差額が、違法な高い利息に当たる可能性があるという。

 前田さんが8月、この業者に法令違反の恐れがあると通告したところ、業者は男性から「代金」を回収していなかったにもかかわらず、「(男性が)代金を支払う必要はない」と連絡を絶った。複数の業者からの借金返済に苦しむ男性は「商品が何か分からないまま、現金がすぐに必要だったので申し込んでしまった」と話しているという。

 このほか、ギフトカードを後払い購入させて、30%以上の手数料を取る類似の取引も確認されている。ネット上で利用が呼びかけられ、無料通信アプリ「LINE(ライン)」などで容易に手続きができるのが特徴だ。

 前田さんは「借金ではないという安心感を持たせて客を集めている。新型コロナウイルスによる生活苦も影響して利用する人が増えるのではないか」と警戒する。いちょうの会では今後、後払い取引についての相談会を開催する予定という。