令和2年 分(ク)第5号    裁判官戒告申立事件

                                被申立人    吉 崎 佳 弥

                       主  文

                   被申立人を戒告する。

                       理  由

   被申立人は、平成5年に刑事部判事補に採用され、令和2年現在、東京地裁刑事11
部の総括判事をしている者である。被申立人は、平成31年(た)第3号再審請求事件に関
して、請求人が平成31年に再審請求をしたときに、何の反応もしなかったが、令和2年8月
28日に請求者が追加意見書を出したところ、その意見の内容が、裁判所に都合のいい
形式内容だったために、東京地検検事の笹川修一に意見を求めるとともに、請求人にも
意見を求めた。請求人が、51頁にわたる意見書を裁判所に提出したところ、被申立人は、
請求人の意見を一顧だにせず、脅迫罪に当たらないのは独自の意見であり、犯行当時に
精神障害があった証明もない、など、意見書の行間を十分に読めば再審開始事由がある
と思ったにもかかわらず、あえて再審を開始せず、棄却した。
   このような被申立人の職務は、甚だ不誠実であり、裁判官分限法の規定により、
戒告とするのが相当である。よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

       令和2年10月14日

             最高裁大法廷