しかし、オウム死刑囚は西川正勝や小田島鐡男などの強盗殺人犯とは明らかに質が違う。死刑囚の中でもエリート中のエリートだと思う。

私はオウム死刑囚の中では端本悟が一番好きだ。

他の連中と違って自分の犯した罪をしっかり受け止めているし、その証拠に死刑確定後も一切再審請求をしていない。その時が来れば潔く死ぬ覚悟があるのだろう。
その根底には武士道を最後まで貫く彼なりの美学があるからだと思う。オウムに入ったのは自己責任といわれても仕方ないが、その後の一家殺害や松本サリンなど
半ば強制的に事件に巻き込まれたのであって、彼が自ら進んで実行役を買ってでたのではないんだ。集団圧力のなかでやむを得ず引き受けてしまったんだと思う。

端本は最後まで教祖および幹部連中をどこか批判的な醒めた目で見ていたし、そんな男が教祖やその他幹部と同じ刑を受けなければいけないなんてあまりにも切ない。

海底都市構想で潜水艦の操縦士役に指名された端本が、沼津港でアクシデントに見舞われ潜水艦と共に海底に沈みかけたときに彼の頭をよぎったという言葉、
「オウムに巡り合っていなければ・・・」には何とも言えない哀愁を感じさせられた。ほんとオウムにさえ会わなければもっと違った人生があったはずなのに、人間の運命、宿命と言う奴はここまで恐ろしいやつなのかと感じたよ。

オウムの中でも端本悟だけは別に死刑じゃなくてもいいと思う。無期懲役に減刑させてその生涯を反省に当てさせるのが筋だと思う。彼にはそれができる。そういう男だ。