PTTに有罪判決 SEXテレフォン(2)

スイス電信電話(PTT)に有罪判決 SEXテレフォンに断

そして今回の裁判での判決は業者に大きな損害を与えた。
一般国民の意見は現在大きく二つに別れている。一つは未成年者へ
の悪影響の防止が完全ならば存続させてもいい、という意見。

もう一つは、PTTの性格上通話の内容に関して政府や法が介入する
のは違法として、従来通りのサービスを存続すべきというものだ。

しかし実際には未成年者への悪影響を懸念する意見が圧倒的で、
この判決は国民の支持を受けているだけは確かだ。

PTTはこれまでこの「セックステレフォンで莫大な利益を得てきた。

ローゼンベルグ総裁の控訴の理由はあくまで「回線を提供するだけで、
内容に関しては関知しないという一審での主張を維持することになる。

しかし完全な公共機関がセックス産業に場を提供、未成年に対する悪
影響の防止策をなんら講ずることなく、さらに大きな利益を得ていた、と
いう事実からは今後国民の支持を受けていくことは困難と思われる。

業者はこの判決に対し今後は利用者との契約制にして、
特定のコードを与え未成年者が利用できないようにするといった対策を
出しているがPTT側が、この手の業者への利用を禁止した場合は電話
によるセックス・サービスは消えてしまうことになる。

スイスは日本人に似た「おたく族」的な性格が強いといわれ、
このスイス版Q2はある意味でスイス的とも言われてきた。

今回の判決に対する反応で一つ特徴的だったのは、隣国であるフランス、
イタリアといった国々でほとんど報道されなかったことだ。

電話やミニテルによる性的娯楽が完全に定着し、性的刺激の強い、男女の
肉体を使った広告やテレビ、コマーシャルや番組が一般的になっている
これらの国々では触れたくない問題とも言える内容だ。

しかし未成年のエイズ感染者の増加といった深刻な状態のあるヨーロッパ
諸国では、今後も議論を呼びそうな問題だ。  (完)

(安倍雅信)93.11.21 世界日報