その時の事が忘れらず、3ケ月後、再訪した。
前回、泊まった旅館は朝方に帰って来たことを精算時に咎められたので別な旅館にした。
これは旅館側としては当然なことで一人旅は食い逃げや事件を起こす人も居るから
警戒する理由もわかる。また同じコンパニオンを指名して来る客の自分も恥ずかしかった。

別な旅館でコンパニオンの予約も取り、料理もランクを上げてもらった。
約束の時間が来て久々の逢瀬に期待して部屋で吸いたい煙草も我慢して待っていた。
仲居さんが失礼しますって襖を開けたら別人が座っていた。唖然とした。
ガラガラと崩れる音が脳裏に浮かんだ。アイヤー!と言いたがったが我慢した。

どうも旅館側がコンパニオンの名前を間違えたようだった。
一期一会の文字が頭の中に浮かんだ桜の季節だった。