【シリコンバレー=渡辺直樹】米新興企業のオープンAIは20日、対話型人工知能(AI)の「Chat(チャット)GPT」が質問に答える際に、利用者の状況や好みを考慮して回答する機能を追加すると発表した。1度指示すれば会話の流れを学ぶため、条件を再度入力する手間が省ける。よりヒトのような自然な会話が可能になる。

例えば6人家族の利用者がチャットGPTに買い物リストの作成を依頼するケースだ。次にリストを頼む場合、家族の人数を改めて条件として指定しなくても、過去のやりとりから判断して自動的に6人分のリストをつくる。

新機能は20日から月額20ドルの「チャットGPTプラス」の利用者に試験的に提供を始め、今後数週間以内にすべての利用者に広げるという。

チャットGPTのサービスにログインして、ウェブやアプリの設定画面から新機能の「カスタム指示」をオンにすることで使える。英国と欧州連合(EU)ではまだ使えない。他の地域に比べ厳しい個人データ規制に配慮したとみられる。

オープンAIはサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)が世界22カ国を訪問し、利用者や開発者との対話を繰り返してきた。AIと会話をするたびに自分の状況を改めて説明するのが煩わしいとする利用者からの意見を改善に取り入れたという。

オープンAIは19日にも、チャットGPTを動かす技術基盤「GPT-4」のアップデート実施を発表した。利用数の制限を緩和して、チャットGPTプラスで送信できるメッセージの数を2倍にし、3時間ごとに50件にした。

チャットGPTは米グーグルの対話型AI「Bard(バード)」など競合サービスの登場もあり、機能の改良や追加を続けている。
2023年7月21日 4:18
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN20DY00Q3A720C2000000/