【シリコンバレー=渡辺直樹】米起業家のイーロン・マスク氏は18日放送の米FOXニュースのインタビューで景況感を語った。米シリコンバレー銀行の破綻に関する質問に対し、「世界の銀行システムに深刻な危険があると思う」と述べた。金利上昇に伴って住宅価格が下落し、2023年後半に不動産市況が「非常に深刻な事態になるだろう」との見通しを示した。

マスク氏は炭鉱で危険な状況を察知するカナリアの例えを出し、シリコンバレー銀行の破綻を「七面鳥並みにとてつもなく大きなカナリアが死んだようなものだ」と表現した。「銀行の運用先やローンを実際に時価評価したら、業界全体が含み損を抱えているという有力な説がある」と述べた。

米国の都市部でオフィスなどの商業用不動産が最大40%の空室率となっている点と、住宅価格の下落リスクを挙げ、「銀行が商業向けの運用と住宅ローンの両方で貸し倒れを起こすことになれば悲惨な状況になる」と話した。

インフレについては「魔法のような治療法はない。商品やサービスの生産性を高めることが必要だ」と述べた。
2023年4月19日 12:09
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN191LJ0Z10C23A4000000/