政府は21日、過労死・過労自殺の現状を分析した2022年版「過労死等防止対策白書」を閣議決定した。うつ病など精神障害による労災認定数が、10~19年度の10年間で6割以上増えたとするデータを紹介。女性の認定は8割近く増加し、セクハラが原因のケースが多いと指摘している。

白書によると、10年度に308件だった精神障害での労災認定は19年度には509件となった。厚生労働省の担当者は「働き方改革などで労働問題への意識が高まった」と理由を分析。業種別では「製造業」「卸売業、小売業」「医療、福祉」の順に多かった。

女性の認定数は104件から179件と増加傾向が目立ち、基準が変わった12年度以降の認定理由は「セクハラを受けた」「悲惨な事故や災害の体験、目撃」がそれぞれ2割に上った。男性の認定理由は「恒常的な長時間労働」が最多で「仕事内容、量の変化を生じる出来事」が続いた。

白書では、新型コロナウイルスの影響で広まったテレワークも調査。毎日実施している人は66%が平均6時間以上の睡眠を確保していたほか、少ない頻度でも、未実施や職場に未導入の人より幸福感を得たと回答する割合が高かった。〔共同〕

2022年10月21日 11:30
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF210LU0R21C22A0000000/