三菱電機は20日、一連の品質不正問題で新たに70件の不正・不適切行為が判明したと発表した。不正関連の累計は17製作所(工場)で197件となる。新たに現旧の役員10人に対して報酬の減額や返納要請の処分を実施する。処分対象者は22人に増える。不正を見逃した経営責任を明確にする。

外部専門家による調査委員会(委員長・木目田裕弁護士)が最終報告書をまとめた。同日午後、三菱電機などとともに都内で記者会見を開いて説明する。

これまで22ある国内生産拠点のうち16製作所で不正が確認されていたが、新たに通信機製作所(兵庫県尼崎市)でも発覚した。5月に公表した3回目の中間報告の時点では不正は148件としていたが、集計方法を見直し127件に改めた。

新たに前会長の柵山正樹氏が関与していた不正も判明した。課長時代の1992年ころ、設計を担当していたタービン発電機の性能について、実測値とは異なる値を顧客に報告していた。柵山氏の提案によって、書類を使った運用が開始されたという。経営責任を検証した弁護士による委員会は「契約違反の疑いのある事案」と指摘したものの「善管注意義務違反は認定できない」とした。

柵山氏以外の役員では不正への関与や認識は認められなかったという。

追加処分は品質不正のあった事業本部の本部長らを対象とした。現役の執行役3人については職務や在任期間などによって月額報酬の20~30%を3カ月間減額する。すでに退任した執行役7人には退任時の月額報酬の20~30%、3カ月分の自主返納を求める。
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