【シリコンバレー=白石武志】米調査会社IDCは28日、2022年4~6月のスマートフォンの世界出荷台数が前年同期比8.7%減の2億8600万台だったと発表した。中国のロックダウン(都市封鎖)の影響などで4四半期連続で減少した。同社は急激なインフレと経済の先行き不透明感が個人消費を抑制し、全地域で在庫が増えていると指摘した。

地域別では世界の出荷台数の2割強を占める中国が14.3%減となり、全体を引き下げた。米アップルをはじめとする有力メーカーがウクライナ侵攻後にロシアにおける製品販売を停止したことなどで、両国を含む中東欧地域の出荷台数は36.5%減少した。中東欧地域の出荷台数は世界全体の約6%に相当する。

メーカー別では首位の韓国・サムスン電子がシェアを前年同期から2.9ポイント高めて21.8%としたほか、アップルのシェアも1.4ポイント上昇して15.6%になった。中国市場への依存度が高い3位の小米(シャオミ)などの中国メーカーは軒並みシェアを落とした。

IDCのリサーチディレクター、ナビラ・ポパル氏は「年初は供給不足で始まった業界が、需要不足の市場へと変化している」と説明した。在庫の増加を受け、中国勢を中心に各社は年内の生産計画を引き下げているという。
2022年7月30日 10:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN3008R0Q2A730C2000000/