X



【半導体】実はシェアが急低下、危機の入り口に立つ日本の前工程装置産業 [エリオット★]
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
0001へっぽこ立て子@エリオット ★
垢版 |
2022/07/11(月) 15:35:16.58ID:CAP_USER
□いつまで「イケイケドンドン」が続くのか?

 半導体市場については「もうそろそろ成長は止まるだろう」という見解もあれば、「半導体需要は、いまだ逼迫しており、従って今後も成長は続く」という意見もある。この先どうなるかは分からないが、2021年に、世界半導体市場も半導体製造装置市場も過去最高を記録したことは事実だ(図1)。

 半導体市場は2021年に5530億米ドルとなり、ことし2022年は6000億米ドルを大きく超えると予測されている。その予測値は、2022年6月7日にリリースされた世界半導体市場統計(WSTS)が6465億米ドルに上方修正され、米調査会社Gartnerが6386億米ドル、米調査会社IC Insightsが6806億米ドルとなっている(図1にはWSTSの上方修正された予測値を記入した)。

https://image.itmedia.co.jp/ee/articles/2207/11/l_mm220712_nano01.jpg
図1:過去最高を更新する世界半導体市場と半導体製造装置市場 出所:WSTS、IC Insights、SEMIのデータを基に筆者作成

 一方、半導体製造装置市場も、2021年に過去最高の1026億米ドルを記録した。そして、SEMIによれば、2022年に1140億米ドルになると予測されている。

 本稿では、まず、ここ最近の半導体市場や装置市場の成長がどれだけすさまじいかということを示す。次に、各種の前工程装置の出荷額の推移を分析する。さらに、2021年における各種前工程装置の企業別シェアと市場規模を明らかにする。

 そこから、日本には特徴的にシェアが高い装置があることを導き出す。これについては、拙著「半導体製造装置と材料、日本のシェアはなぜ高い? ~「日本人特有の気質」が生み出す競争力」(2021年12月14日)で詳細な分析を行った。今回も日本にはシェアが高い装置があることが確認できたが、逆に問題点も明らかになった。
https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2112/14/news034.html

 その問題とは、日本全体の前工程装置の世界シェアは2013年頃から急速に低下していることである。本稿の最後では、その原因究明を行う。これは相当深刻な問題であり、放置すると挽回不能なまでに凋落(ちょうらく)してしまった日本半導体産業の二の舞になりかねないことを警告する。

□異次元の拡大を続ける半導体市場と装置市場
 図2に、ITバブルが起きた2000年で、それぞれ規格化した半導体市場と装置市場の推移を示す。

https://image.itmedia.co.jp/ee/articles/2207/11/l_mm220712_nano02.jpg
図2:2000年で規格化した世界半導体市場と製造装置市場 出所:WSTS、IC Insights、SEMIのデータを基に筆者作成

 半導体市場は2000年でピークアウトした後、すぐに回復し、2004年に「1」を超えた。しかし、半導体市場が「2」を超えたのは、今から5年前の2017年のことである。つまり、半導体市場は、2000年の2倍になるのに18年を要したことになる。

 その半導体市場は、WSTSが修正した予測値によると、2022年に「3」を超える。つまり、半導体市場が2倍になるのに18年もかかったが、2倍から3倍になるのはわずか5年ということになる。

 一方、装置市場に目を向けると、2000年にピークアウトした後、2007年と2011年に限りなく「1」に近づいたがそれを超えることができなかった。装置市場が「1」を超えたのは、今から5年前の2017年のことである。そして、その4年後の2021年に「2」を超えて2.3倍になった。

 図2に網掛けの矢印で示した通り、半導体市場も装置市場も、直近5~6年間で飛躍的に成長していると言える。特に、コロナ騒動が起きた2020年以降は、半導体市場も製造装置市場も、異次元の急成長を遂げているように見える。

 次ページ 各種前工程装置の出荷額
https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2207/11/news090_2.html

>>2 へ続く

2022年07月11日 14時00分 公開
EE Times Japan
https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2207/11/news090.html
0002へっぽこ立て子@エリオット ★
垢版 |
2022/07/11(月) 15:35:35.59ID:CAP_USER
>>1 から続く

□各種前工程装置の出荷額
 図3に、各種の前工程装置の出荷額の推移を示す。2021年の出荷額の大きい順に、ドライエッチング装置が189.2億米ドル、露光装置が164.2億米ドル、外観検査とパタン検査の合計の検査装置が138.9億米ドル、成膜装置の1つであるCVD装置が99.7億米ドルとなった。

https://image.itmedia.co.jp/ee/articles/2207/11/l_mm220712_nano03.jpg
図3:各種半導体製造装置の出荷額の推移 出所:野村証券のデータを基に筆者作成

 微細加工に使われるドライエッチング装置と露光装置が1位と2位である。最先端のロジック半導体、DRAM、3次元NAND型フラッシュメモリなどは、非常に複雑な構造をしており、微細加工が難しい。そのため、より高精度な装置がを多数求められていることが、この結果になっていると思われる。

 また、露光装置では、2019年に登場した最先端のEUV(極端紫外線)露光装置の価格が、2018年まで先端装置だったArF液浸の2倍以上の約180億円もする。従って、装置市場では、露光装置がドライエッチング装置を抜くかもしれないと予想していた(事実、2019年は露光装置がドライエッチング装置を上回った)。

 しかし、実際は、ドライエッチング装置市場が露光装置市場を押さえて1位となった。EUVの価格は180億円とべらぼうに高額であるが、昨年(2021年)の出荷台数は42台にとどまった。一方、ドライエッチング装置の出荷台数は、これより2桁多いと思われる。つまり、出荷台数の多さがモノを言って、ドライエッチング装置市場がトップになったのだろう。

□2000年で規格化した各種装置市場
 図4に、2000年でそれぞれ規格化した各種の装置市場の推移を示す。成長率が高い順に、ドライエッチング装置が4.3倍、露光装置が3.1倍、洗浄装置が2.94倍、検査装置が2.93倍(洗浄と検査はグラフが重なっている)、CVD装置が2.3倍となった。

https://image.itmedia.co.jp/ee/articles/2207/11/l_mm220712_nano04.jpg
図4:2000年で規格化した各種半導体製造装置の出荷額 出所:野村証券のデータを基に筆者作成

 ドライエッチング装置が4.3倍に成長したことに驚かざるを得ない。また、微細加工に使われるドライエッチング装置と露光装置が、規格化グラフにおいても1位と2位になっている。ドライエッチング装置の膨大な台数、露光装置の価格高騰などが大きく関係していると思われる。

 これに加えて、洗浄装置が2.94倍に成長していることに注目したい。半導体の製造工程は500~1000工程以上になる。その30%~40%が洗浄工程である。半導体を生産する際に、成膜する前に洗い、成膜したら洗い、微細加工の前に洗い、微細加工の後にも洗う。つまり、洗って洗って洗いまくっているのである。その頻度は、半導体の微細化が進むほど、大きくなる。従って、洗浄装置市場の成長が、ドライエッチング装置と露光装置に次ぐ3位にランクされるようになったのだろう。そして、この傾向は今後も続くと思われる。

 次ページ 日本の世界シェアが高い装置の特徴は?
https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2207/11/news090_3.html

>>3 へ続く
0003へっぽこ立て子@エリオット ★
垢版 |
2022/07/11(月) 15:35:51.83ID:CAP_USER
>>2 から続く

□2015年で規格化した各種の装置市場
 さて、図2で、直近5~6年において、装置市場が急拡大していると述べた。そこで、2015年でそれぞれ規格化した各種装置市場のグラフを書いてみた(図5)。

https://image.itmedia.co.jp/ee/articles/2207/11/l_mm220712_nano05.jpg
図5:2015年で規格化した各種半導体製造装置の出荷額 出所:野村証券のデータを基に筆者作成

 すると、2015年からの6年間で、全ての装置が、約3倍に成長した装置群と、約2.5倍に成長した装置群の2種類に分類できることが分かった。

 約3倍に成長した装置群は、ドライエッチング装置(3.14倍)、CVD装置(3.10倍)、CMP装置(3.09倍)、PVD装置(2.91倍)、露光装置(2.90倍)、コータ・デベロッパ(2.89倍)である。

 一方、約2.5倍に成長した装置群は、検査装置(2.56倍)、洗浄装置(2.54倍)、CD-SEM(2.43倍)である。

 しかしそれにしても、全ての前工程の装置の出荷額が、わずか6年間で、約2.5~3倍に成長しているとは驚きである。半導体の微細化は止まることなく続いており、半導体市場も、装置市場も、青天井で急成長している。

 1987年~2002年に、DRAMの凋落とともに、悲しい技術者人生を送ってしまった筆者の時代とは、まるで様子が異なる(技術者ではないが、ジャーナリストとしてそれに関わることができているだけでも幸せなことなのかもしれない)。

□2021年の前工程装置の企業別シェアと市場規模
 2021年の前工程装置の企業別シェアを図6に示す。各種の装置が少数の企業によって寡占化されているように見える。

https://image.itmedia.co.jp/ee/articles/2207/11/l_mm220712_nano06.jpg
図6:前工程装置の企業別シェア(2021年) 出所:野村証券のデータを基に筆者作成

 例えば、「1強+その他」に該当するのは、露光装置(ASML)、コータ・デベロッパ(TEL[東京エレクトロン])、スパッタ装置(AMAT)、外観検査装置(KLA)、パタン検査装置(KLA)などがある。

 「2強+その他」としては、AMATとLam Research(以下、Lam)のCVD装置、TELとKOKUSAI ELECTRICの熱処理装置、AMATと荏原製作所のCMP装置、SCREENとTELのバッチ式洗浄装置、LasertecとKLAのマスク検査装置などがある。

 3社以上の混戦状態になっている分野としては、Lam、TEL、AMATによるドライエッチング装置、SCREEN、TEL、SEMES、Lamによる枚葉式洗浄装置がある。ただし、ドライエッチング装置においては、Lamがかなり優位なポジションを占めており下克上は起きそうもないが、枚葉式洗浄装置では場合によっては下克上が起きる可能性があると思われる。

□日本の世界シェアが高い装置の特徴
 日本のシェアが高い分野としては、コータ・デベロッパ(91%)、熱処理装置(95%)、枚葉式洗浄装置(61%)、バッチ式洗浄装置(91%)、マスク検査装置(44%)、測長SEM(69%)などがある。

 ここで、日本のシェアが高い装置分野と市場規模を見比べてみて、ある特徴に気がついた。それは、市場規模が100億米ドルを超える分野では、日本のシェアは高くないということである。逆の言い方をすれば、市場規模の大きい分野を欧米の装置メーカーが独占しているともいえる。

 例えば、ASMLの露光装置(164億米ドル)、LamとAMATによるドライエッチング装置(189億米ドル)、AMAT、Lam、ASMIによるCVD装置(約100億米ドル)、KLAとAMATによる外観検査装置(104億米ドル)である。

 次ページ 日本の前工程の世界シェアはどうなっているのか?
https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2207/11/news090_4.html

>>4 へ続く
0004へっぽこ立て子@エリオット ★
垢版 |
2022/07/11(月) 15:36:02.16ID:CAP_USER
>>3 から続く

□日本の前工程の世界シェアはどうなっているのか?
 日本の世界シェアが高い装置の市場規模は大きくない。一方、市場規模の大きな装置では、日本の世界シェアは低い。

 となると、日本全体の前工程の世界シェアはどうなっているのだろうかという疑問が湧いてきた。そこで、前工程における地域別シェアの推移をグラフにしてみた(図7)。

https://image.itmedia.co.jp/ee/articles/2207/11/l_mm220712_nano07.jpg
図7:前工程装置の出荷額と地域別シェアの推移(~2021年) 出所:野村証券のデータを基に筆者作成

 【うわっ、日本の世界シェアが急低下している!】

 筆者は、このグラフに大きな衝撃を受けた。日本は、2012年頃までは、35~40%あたりで米国とトップシェア争いを展開していたが、2013年以降に日本のシェアは急減している。そして、2021年には、米国が40.8%、日本が25.5%、欧州が22.8%、韓国が3.3%、中国が0.4%となった。

 ここで、欧州のシェアは、そのほとんどが露光装置市場を独占しているASMLによるものである。ASMLは2021年に、1台180億円もする最先端露光装置EUVを42台出荷したが、ことし2022年は55台出荷する見込みである。となると、2022年の地域別シェアでは、日本は欧州にも抜かれてしまうかもしれない。

□なぜ日本の世界シェアが低下するのか?
 筆者は、さまざまな角度から、この原因究明を試みたが、なかなか明快な答えを出せずにいた。そのような中で、各種の前工程装置について、2011年と2021年の売上高シェアのグラフを書いてみた(図8)。その結果、日本の前工程装置のシェアが低下している原因が分かってきた。

https://image.itmedia.co.jp/ee/articles/2207/11/l_mm220712_nano08.jpg
図8:前工程装置のシェア(2011年と2021年) 出所:野村証券のデータを基に筆者作成

 図8を見ると、2011年から2021年の10年間で売上高シェアが向上しているのはマスク検査装置だけであり、それ以外の全ての前工程装置でシェアが低下しているのである。

 つまり、こう言うことである。日本の前工程装置のシェアが2013年頃から低下しているのは、何か特定の装置の売上高シェア低下に原因があるのではなく、ほぼ全ての装置において、満遍なく売上高シェアが低下していることに起因していると言える。これは、非常にたちが悪い。

 というのは、TEL、SCREEN、KOKUSAI ELECTRIC、日立ハイテク、荏原製作所などの日本企業各社の売上高は伸びているかもしれないが、売上高シェアは低下している可能性があるからだ。つまり、日本企業よりも、欧米企業の方が売上高の増加率が高いということである。

 自分の会社が世界の中でどのようなポジションにいるかを把握することは極めて重要である。売上高が増加し、利益(率)も上がっているからと言っても、手放しで喜ぶことはできない。競合他社に対して、自社の売上高や利益(率)が高いか低いかを比較して、はじめて自社の本当の実力が分かるのである。

 日本半導体産業は回復不能なところまで売上高シェアが低下してしまった(図9)。今のままでは日本の前工装置産業も、同じ轍を踏むことになる。前工程装置に関係する日本企業には、早くこの問題に気付いてほしい。その上で、可及的速やかに対策を講じるべきである。

https://image.itmedia.co.jp/ee/articles/2207/11/l_mm220712_nano09.jpg
図9:地域別の半導体の売上高シェアの推移(~2017年)[クリックで拡大] 出所:Gartnerのデータなどを基に筆者作成
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

ニューススポーツなんでも実況