野村総合研究所はSNS(交流サイト)のツイッターの書き込みから、緊張や活気、怒りといった日本に漂う「空気感」を推測する手法を開発した。ロシアによるウクライナ侵攻や新型コロナウイルスの感染拡大から、緊張を表す単語の書き込みが増えていた。推測データは定期的に公開し、政策立案やマーケティングに生かしてもらう。

緊張、活気、怒り、疲れ、落ち込み、混乱の6つの指標ごとに、関連する20〜30の単語をそれぞれ定め、ツイッターに書き込まれた割合を調べた。利用者の増減や一部の単語が流行的に使われる影響などを考慮した上で、2017〜21年の平均を1として指数化した。

「緊張」の長期的な傾向を表す指数は17年1月の0.81から上昇を続け、21年末には1.16に達した。新型コロナウイルスの広がりが長期化している影響が表れた。短期的にも上昇しており、ウクライナ侵攻直後の2月末は1.23、3月は1.28と年末を上回った。月別の傾向では緊張は新生活が始まる4月に上がりやすいことが分かった。職場や学校などで新しい環境になり、緊張感が高まりやすいことがうかがえる。

「活気」は17年1月に0.8だったのが21年末には1.11に上昇した。感染症や地政学リスクが明らかとなった割には景気が底堅く、株価なども上昇傾向にあったのが影響しているとみられる。

短期の傾向では、活気は緊急事態宣言の解除のような節目となる出来事があると上がりやすかった一方、土日や夏休みなどの定期的な休みでは上昇しなかった。怒りは他の指標と比べて平日に上がる傾向にあった。

野村総研は今後、利用者の年齢や地域を考慮したり、海外でも同様のデータを推測し、比較したりすることも進めていく方針だ。(大越優樹)
2022年4月11日 12:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC0135X0R00C22A4000000/