ウクライナはロシアによる侵攻を受けて、ドメイン名の管理などを担う非営利団体ICANNに対し、「.ru」「.su」などロシアのトップレベルドメイン(TLD)と、同国に関連するSSL証明書の取り消しを要請した。要請を行ったのは、ICANNのウクライナ代表であるAndrii Nabok氏と、ウクライナ副首相兼デジタル変革相のMykhailo Fedorov氏だ。

 これに対するICANNの回答は、ノーだった。
□[At-Large] UA asking ICANN to introduce sanctions targeting Russian Federation’s access to the Internet: nabok at thedigital.gov.ua to ICANN: "Ukraine urgently need ICANN's support"(英文)
http://atlarge-lists.icann.org/pipermail/at-large/2022q1/007814.html

 ICANNの最高経営責任者(CEO)兼プレジデントであるGoran Marby氏はその旨を書簡で伝え、「ICANNは、ウクライナと世界のインターネットのセキュリティ、安定性、レジリエンシーの支援を続ける準備ができている」と締めくくった。
□書簡のPDF
https://www.icann.org/en/system/files/correspondence/marby-to-fedorov-02mar22-en.pdf

 Fedorov氏は、欧州、中東、中央アジアの一部地域を管轄する地域インターネットレジストリーのRIPE NCCにも、ロシアがIPv4とIPv6のアドレスを使用する権利を取り消し、同国のDNSルートサーバーを遮断することを要請していた。

 RIPEはこの要請を既に拒否している。RIPE NCC執行委員会は、「通信手段は、国内政治紛争、国際紛争、または戦争の影響を受けてはならない。これには、正しく登録されたインターネットのナンバリングリソースの提供が含まれる」と述べた。
□RIPE NCC Executive Board Resolution on Provision of Critical Services — RIPE Network Coordination Centre(英文)
https://www.ripe.net/publications/news/announcements/ripe-ncc-executive-board-resolution-on-provision-of-critical-services

 これらの動きは意外ではない。インターネット関連組織の人々はこれまでに、要請に応じるべきではないとの姿勢を明らかにしていた。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
https://www.zdnet.com/article/icann-rejects-ukraines-request-to-block-russia-from-the-internet/

2022年03月04日 09時27分
CNET Japan
https://japan.cnet.com/article/35184415/