動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」運営会社の日本法人は10日、ツイッター上で多数のフォロワーを抱える「インフルエンサー」計20人に約2年半で計7600万円の報酬を支払っていたと発表した。広告と明記せず、日本法人の担当者が指定した動画を一般の投稿のように紹介させ、アプリのダウンロードを促す依頼もしていた。

口コミを装った宣伝は「ステルスマーケティング(ステマ)」と呼ばれる。アプリを運営する中国IT(情報技術)大手、北京字節跳動科技(バイトダンス)の日本法人は「広告目的の投稿と評価されてしかるべき事案だった」(広報)と説明した。

日本法人によると2019年7月〜21年12月末、報酬付きの契約を結んだインフルエンサーに動画を拡散する対価として金銭を支払っていた。複数の担当者が、ティックトックに投稿された動画の中からツイッター上で拡散させたいものを伝えていたという。報酬は動画の再生回数に応じた歩合制だった。

日本法人はこれまで「コンテンツを広げるPRの一環で、広告表記が必要だという認識がなかった」と説明していた。今回の社内調査の結果、20年秋ごろから担当者がインフルエンサーに対し、投稿にアプリのダウンロードリンクを加えるよう求めていたことが判明した。該当する投稿は削除し、関与した社員への処分を行ったという。

日本ではステマに関する明確な法規制はないが、業界団体がガイドライン(指針)で消費者に誤解を与える行為として禁止している。日本法人は今後、外部への広告投稿に関するガイドラインを作成するという。
2022年2月10日 9:51
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC100PX0Q2A210C2000000/