→円安追い風も生産遅延の中、台数や商品構成悪化−生産計画引き下げ
→通期の営業益見通しは据え置き、進捗率を踏まえると保守的との声も

トヨタ自動車は9日、今期(2022年3月期)の営業利益が前年同期比21%減の7843億円だったと発表した。ブルームバーグが事前に集計した市場予想の平均値を上回った。為替の追い風があったものの、販売する台数の減少や商品構成の悪化などが響いた。

  トヨタの発表資料によると、為替の円安傾向が営業利益を前年同期比で1900億円押し上げる要因となったが、販売面での影響のほか原価改善や経費削減の効果が前年同期を下回り、減益となった。ブルームバーグが事前に集計したアナリスト11人の営業利益の予想平均値7494億円は上回った。

□トヨタ10−12月期業績
・売上高:7兆7857億円、市場予想7兆5847億円
・営業利益:7843億円、市場予想7494億円
・純利益:7917億円、市場予想6192億円

  通期の為替前提は1ドル=111円、1ユーロ=129円と従来見通しからそれぞれ1円円安方向に修正した。

  今期(2022年3月期)の業績見通しでは売上高を29兆5000億円に引き下げた。営業利益と純利益については従来見通しを据え置いた。

  トヨタは昨年秋以降、半導体不足や新型コロナウイルス感染拡大の影響で生産が停滞。「先行きが見通しにくい状況」だとしてトヨタ・レクサスブランドの通期の世界生産台数を850万台に引き下げた。小売ベースの世界販売台数は940万台と従来見通しを据え置いた。

  ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストは10−12月期の結果について、「想定線をやや上回るが大きなサプライズはない」と評価。その一方で、通期の営業利益見通しを据え置いたことに関しては、4−12月期時点で進捗(しんちょく)率が9割を超えている状況を踏まえると「非常に保守的」との見方を示した。

□決算報告 | 投資家情報 | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト
https://global.toyota/jp/ir/financial-results/

2022年2月9日 13:39 JST 更新日時 2022年2月9日 14:13 JST
Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-02-09/R6R5U8T1UM0X01