ところで、実際に結婚している夫婦というのは、どのようなマッチング形態なのでしょうか。恋愛力の高い恋愛強者同士がマッチングしているのか、それとも、恋愛強者と恋愛弱者が結婚においてマッチングすることがあるのでしょうか。とはいえ、実際に結婚した夫婦がどういう組み合わせ同士の結婚なのか?  について、なかなか通常の国の基幹統計では調査されません。

 私は20〜50代の全国約1000組2000人の夫婦を対象に調査したことがあります。今回はその結果から分かる、結婚と恋愛強者・弱者の相関についてご紹介します。

 その前に「恋愛強者」とは何を指すのでしょうか?  以前、「恋愛強者3割の法則」についてご紹介しました(独身が増え続ける原因を「若者の恋愛離れ」にしたがるメディアの大ウソ)。恋愛強者は3割で、反対に恋愛最弱者も3割います。残りの4割は中間層です。出生動向基本調査にもある通り、30年以上も前から独身者の「恋人がいる率」というのは常に3割程度で推移していますし、同様に、恋愛する時期を逸したと思われる35〜39歳での性体験なし率も不思議とずっと男女とも3割程度で推移しています。

■「恋愛上手と思うか」「告白されたことはあるか」聞いてみると…

 私も、2015年より20〜50代の未婚男性に対して継続的な調査による恋愛強者率を算定していますが、ほぼ同じ傾向が出ます。

 具体的には、「自分は恋愛上手であるか否か」「恋愛に対して能動的であるか否か」「異性に対して告白したことがあるか否か」「異性から告白されたことがあるか否か」「自分の容姿に自信があるか否か」「これまで付き合ったことのある人数」など恋愛行動に関する複数の項目の結果を5段階評価に分け、全項目平均で4以上の対象者を恋愛強者として分類しています。それによれば、2020年時点の最新結果でも、未婚男性の恋愛強者率は、20〜30代平均で25%、未婚女性も35%程度でそう大きく違いません。

そういうと、未婚者の統計だけで、恋愛強者3割と断じるのは乱暴ではないかというご指摘もあります。なぜなら、今や恋愛結婚が9割を占めるご時世、既婚者は全員恋愛経験者であり、恋愛弱者ではないではないか、というわけです。そもそも、日本の有配偶率は約6割なんだから3割しか恋愛強者がいないのはおかしい、と。確かにそれも一理あります。

 しかし、よく考えてほしいのは、既婚者だからといって、全員が恋愛強者と言えるのか、という点です。恋愛を経験したことがある者が恋愛強者ではありません。受け身でも恋愛経験者にはなれます。

■夫婦でも恋愛強者は全体の3分の1にすぎない

 結論からいえば、既婚者で同様の調査をしても、実は未婚者と変わらず大体3割程度なのです。20代既婚者こそ恋愛強者率は男女とも4割を超えますが、30代以上は男女とも3割前後に落ち着きます。20代だけ突出するのは、そもそも20代での婚姻数が少ないことと、20代で結婚に至る若者に恋愛強者が集中するからです。言い換えれば、恋愛強者以外の人たちが結婚しているからこそ有配偶率6割が達成できているとみるべきです。

 さて、前置きが長くなりましたが、実際の夫婦のそれぞれの恋愛強者率から見ていきましょう。

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夫:恋愛強者31%、中間層35%、恋愛最弱者34%
妻:恋愛強者32%、中間層38%、恋愛最弱者30%
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 まさに「恋愛強者3割の法則」通り、男女ともほぼきれいに3分の1ずつに分かれました。夫婦で調査しても、恋愛強者は大体3割なのです。

 興味深いのは、それぞれのマッチング状況でした。恋愛強者は強者同士でマッチングされると思いがちですが、そうではなかったのです。それぞれのマッチングを細かく見たのが以下のグラフです。

■年齢だけでなく恋愛力も「同類婚」が多い

 意外にも、恋愛強者同士の夫婦は全体の15%しかいません。恋愛強者3割のうち恋愛強者同士で夫婦となるのはその半分しかいないのです。恋愛強者夫は9%が中間者妻と、7%が最弱者妻と結婚します。同様に、恋愛強者妻も10%が中間者夫と、7%が最弱者夫と結婚します。夫婦ともに強者×最弱者のペアが7%いるわけです。恋愛力だけで結婚のマッチングが成立するわけではないことが分かります。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6ff1059a3dea367fc2319a8faa4e02656cd86a3e