【シリコンバレー=白石武志】米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が自ら保有する同社株の一部を8日付で売却したことが10日、米証券当局への届け出で明らかになった。同氏は同時に報酬の一部として受け取ったストックオプション(新株予約権)の一部を行使しており、保有株の売却は必要な資金を捻出するためだったとみられる。

米証券当局への届け出文書によると株式売却の取引は8日付。売却した株式数は発行済み株式数の約0.1%に相当する約93万株だった。マスク氏の持ち分の約0.5%に相当し、売却額は11億ドル(約1250億円)だった。

届け出文書では、マスク氏が8日付で215万株のストックオプションを行使したことも判明した。行使価格は1株当たり6.24ドルで、費用は約1340万ドルだったとみられる。一連の取引後、マスク氏は約1億7000万株を保有しており、約17%の出資比率を維持している。

マスク氏は6日、保有株の10%を売却してでも納税すべきかどうかをツイッター上の投票によって決めると表明。売却に賛成多数だった投票結果に従い、自ら保有するテスラ株を放出する方針を示していた。同氏が「公約」に従えば、今後も株式の放出が続くことになる。

マスク氏の保有株売却の提案後、大量の株式放出による値下がり懸念から週明け以降の米株式市場でテスラ株は売りが加速していた。10日の終値は前日比4%高の1067ドル95セントとなり、4営業日ぶりに反発した。
2021年11月11日 10:30
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1111K0R11C21A1000000/