エーザイと米バイオジェンは28日、アルツハイマー型認知症新薬候補「レカネマブ」について、米食品医薬品局(FDA)へ製造販売の承認申請を開始したと発表した。6月下旬に審査を優先する「画期的医薬品」に指定されており、従来計画から前倒しで申請手続きを始めた。

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エーザイは「レカネマブ」の申請を開始した

レカネマブは軽度のアルツハイマー病や軽度認知障害(MCI)を対象とする新薬候補。病気の原因物質とされ脳内に蓄積するたんぱく質「アミロイドベータ」を減少させる効果を狙う。6月にFDAが条件付きで承認したアルツハイマー病新薬「アデュヘルム」に次いで2つ目の候補物質となる。

従来は2023年3月ごろまでの申請を想定していたが、6月下旬にFDAが審査を優先して進める医薬品に指定。指定に基づき、段階的に資料を提出する仕組みを活用して申請手続きを始めた。従来に比べてFDAが資料を確認する期間の短縮につながるとされる。

第2段階の臨床試験(治験)では、投与によりアミロイドベータが減少し、症状の悪化を抑制する効果が見られた。現在は最終段階の治験を実施中だが、FDAとの協議の上、第2段階の治験結果に基づいた申請が可能と判断した。最終段階の治験データは22年秋ごろに明らかになる見込み。

レカネマブについては、エーザイが07年にスウェーデンのスタートアップから候補物質の開発権利などを取得し、開発を主導してきた。14年にバイオジェンとの共同開発へ移行した。実用化した際には、日米欧など主要な地域の売上高はエーザイが計上し、利益はバイオジェンと折半する。

エーザイとバイオジェンは先行して米国で実用化したアデュヘルムをはじめ、複数の認知症薬候補の開発を進めている。

2021年9月28日 11:48
日本経済新聞
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