調査会社の富士経済(東京・中央)は容器にラベルを付けないラベルレス飲料の国内市場が、2021年に20年比2.4倍の205億円に拡大するとの調査をまとめた。清涼飲料の国内市場が20年比1.6%増と伸び悩む中での拡大だ。環境への配慮から、飲料メーカー各社がラベルレス製品の導入を進めており、電子商取引(EC)での箱売りが中心となり市場が拡大する。
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国内のラベルレス飲料市場は18年にアサヒ飲料が「アサヒ おいしい水 天然水 ラベルレスボトル」を発売したことにより拡大を始めた。富士経済によると18年に5億円だった市場は、21年には約40倍の205億円にまで拡大する。企業側はプラスチック使用量を削減でき、消費者側にもリサイクルの際にラベルをはがす手間がいらないという利点がある。

富士経済では「採用ブランドが増えることで市場は成長が続く」とみる。20年に資源有効利用促進法の省令が一部改正されたことにより、箱売りのペットボトルについては外装にマークを印刷するなどの条件を満たすことで、ラベルによる識別マークの表示を省略できるようになった。

改正後には日本コカ・コーラが「綾鷹」や「カナダドライ ザ・タンサン・ストロング」でもラベルレス製品を発売した。また、大塚製薬が瓶製品「オロナミンC」のラベルレス製品を発売するなど、ペットボトル製品以外にもラベルレスが広まっている。

現在販売されているラベルレス製品の多くはECでの箱売りだ。「ラベルレス製品は店頭に並べると他社と見分けにくく、ラベルを使った訴求もしにくい」(富士経済)ためだ。各社は店頭販売向けのラベルレス製品も開発しているが、当面はECでの販売がラベルレス市場の中心となるとみている。

プラスチック使用量削減と店頭での訴求を両立するための製品の開発も進む。アサヒ飲料がラベルの面積を80%以上削減した製品を店頭で試験販売したほか、サントリー食品インターナショナルがラベルレスボトルに「首掛式ラベル」と呼ばれる小さなタグを付けた製品を数量限定で発売した。

2021年9月9日 12:07
日本経済新聞
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