会社員やアルバイト、パートなど雇用されている立場である労働者が、仕事や通勤を事由としたケガや病気になり、あるいは死亡した場合、いわゆる労災保険、正式には「労働者災害補償保険」による保険給付が行われます。

労災保険は国が管掌しており、労働者を一人でも雇用する会社には労働者災害補償保険法によって加入が義務付けられています。

IT業界は残念ながら長時間労働が常態化している職場が少なくありません。そしてこれに起因する過労、うつなどの精神疾患をはじめとするさまざまな労働災害が発生していることは、読者もご存じのことでしょう。

会社員やパート、アルバイトなどであれば、こうした労働災害は労災保険によって補償されます。

一方、企業とは雇用関係になく、準委任契約や受託契約などを結んで仕事をしているフリーランスのITエンジニアやWebデザイナーなどは、たとえ長時間労働で過労となり精神疾患になろうとも、労災保険の加入対象外です。かかる医療費や働けない期間の生活費などはすべて自己負担となります。

しかしITエンジニアをはじめ、フリーランスのように雇用関係を持たずに働く人は増加しています。そうした働き手をどうやって保護するかは大きな課題の1つでした。

フリーランスのITエンジニアなども労災保険に特別加入が認められる
そうしたなかで、厚生労働相の諮問機関である労働政策審議会は6月18日にフリーランスのITエンジニアの関係団体であるITフリーランス支援機構からヒアリングを行い、同日、ITフリーランスの労災特別加入が認められることが明らかになりました(第97回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会資料)。

2021年9月1日に省令が改正施行される予定です。
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