政府がレジ袋の有料化を全国の小売店に義務付ける制度が開始されてから7月1日で1年となる。この間、コンビニエンスストアやスーパーなどでは、レジ袋を断る辞退率が増加。マイバッグを持ち歩くなどプラスチックごみ削減へ新たな生活習慣も定着し始めている。ただ、レジ袋有料化は消費者の環境問題への意識を高めたものの、レジ袋以外の取り組みには十分につながっていないとの課題もある。環境負荷低減にはペットボトルの削減など、横展開を含めた官民の取り組みが重要となっている。

「思っていたよりも反発は少なかった」

あるコンビニの担当者は有料化後の1年をそう振り返る。当初、懸念していた客の反発や売り上げへの影響などもほとんどみられないという。

レジ袋の有料化は、プラごみの削減や、プラごみが環境に与える影響について考えるきっかけにしてもらおうと始まった。日本フランチャイズチェーン協会によると、有料化後にコンビニでレジ袋を辞退する人の割合は28・3%から74・6%に増加。マイバッグの持参や、弁当などを手に店から出てくるような光景は珍しくなくなった。

もともと取り組みが進んでいたスーパーでも脱レジ袋の動きは加速。日本チェーンストア協会によると、これまで辞退率は5割程度だったが令和2年度は75・3%に増えたという。

環境省が昨年11月に行った調査でも、レジ袋有料化を機に約2割が「ごみの分別を以前より行うようになった」「海の生き物への影響を気にするようになった」などと回答しており、国民の意識にも変化が生じていることがうかがえる。

ただ、東京農工大の高田秀重教授は「せっかくの機運を、次につなげる動きが乏しい」と語る。プラスチック製品全体に占めるレジ袋の割合は数%で、環境負荷を減らす効果としては限定的だからだ。

環境省が平成28年に実施した調査でも、国内に漂着したプラごみのうち、レジ袋は0・6%にとどまり、飲み物や洗剤などのボトル類が5割近くを占めていた。新型コロナウイルスに伴う在宅時間の増加で、家庭から出るプラごみは、むしろ増えているとも指摘されている。

ペットボトルの削減にむけ、無印良品を展開する良品計画が、4月に飲料商品の容器をペットボトルからアルミ缶に切り替えるなど、前向きな取り組みも出てきてはいるが、まだ限定的だ。高田氏は「公共施設などでマイボトルに飲料水を補給できる場所を設けるなど、レジ袋で終わるのではなく、官民が連携してプラごみ削減に向けた取り組みを加速することが重要だ」と話している。
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