→試算値は25.32%と14年度の12.27%上回る、運用資産額も過去最高
→外国株と国内株が収益全体をけん引、構成比率は合わせて5割超に

世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2020年度の運用収益率が過去最高になったと、モルガン・スタンレーMUFG証券は推計している。コロナショックで急落後の内外株式相場の大幅な上昇を受けて、マイナスに転落した前の年度からは急回復となる。
□2019年度の運用状況|年金積立金管理運用独立行政法人
https://www.gpif.go.jp/operation/last-years-results.html

https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/icoifTkcBGdI/v0/600x-1.jpg
GPIFの宮園雅敬理事長

  同証券株式統括本部でエグゼクティブ・ディレクターを務める岩尾洋平氏の試算によると、20年度の収益率は25.32%と市場運用を始めた01年度以降で最高だった14年度(12.27%)を上回った。資産別では外国株が最も高く、国内株がこれに次ぐ。年金特別会計積立金も含めた運用資産額は過去最高の189兆円と見込んでいる。

  GPIFが掲げる長期的な運用目標は、賃金上昇率プラス1.7%。20年度からは国内外の債券と株式に25%ずつ振り向けることを基本に運用している。試算では、外国株が3兆円の売り、国内株は2兆円の売り、外国債は1兆円の買いと想定。株価上昇に伴う売却後も、国内外の株式の構成比は合計で5割を超えたとみている。

GPIFの20年度収益率は過去最高に
(年度ごとの棒グラフはコピペできない形式になっているので元ソースでご覧下さい)
出所:GPIF、モルガン・スタンレーMUFG証券
備考:2020年度はモルガンMUFG証の推計、年金特別会計積立金も含めた運用資産を基に試算

  20年度は、先進国を対象とした株価指数のMSCIワールドインデックスが約52%上昇、TOPIXは約39%上昇した。財務省の統計によれば、外国株中心に株価が上昇する中、年金を管理する信託銀行からの外国株売り・外国債買いが増加した。国内の公的年金で2番目の運用資産を持つ地方公務員共済組合連合会(地共連)の運用収益率は速報ベースで20%超と過去最高だった。
□令和2年度中 国際収支状況(速報)の概要 : 財務省
https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/balance_of_payments/preliminary/pg2020fy.htm
□地共連の20年度運用収益率、株高に乗り過去最高−オルタナ投資も堅調 - Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-05-21/QT8RLFDWRGG401

  GPIFは7月2日に、20年度の第4四半期と通期の運用状況について発表する。宮園雅敬理事長が記者会見を行う。

       収益率 資産構成割合
運用資産全体 25.32% 100%
国内債券 −0.75% 22.26%
国内株式 41.53% 25.08%
外国債券 6.49% 25.12%
外国株式 60.17% 25.43%
出所:モルガン・スタンレーMUFG証券の試算

2021年6月25日 6:00 JST
Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-06-24/QUCTWBDWRGG701