学力とは人間の能力のごくごく一部に過ぎないですし、勉強は人生をよりよく生きるための手段に過ぎないのですから、親は学校とはまた違った発想・視点で子どもに接していく必要があります。

ITの発達により様々な選択肢が生まれ、学びの場は多様化しています。

学校で学ぶ5教科以外にも学べる領域はたくさんあるし、学校以外にもコミュニティがあります。世界にはいろんな人がいて、いろんな生き方があります。このような視点は、朝から晩まで机にかじりついていては持てないものです。

「学校の外には、学校以外の大きな世界が広がっている」ことを教えてあげられるのは親しかいません。教育改革は親自身が考え、提供する必要性が高まっているように感じます。

◆ITによって多様化する学びの場

現代は学校に行かなくても、大学の修了証なんてなくても、学びたい人には最高の環境が整っています。たとえば昨今、MOOC(Massive Open Online Course※、大規模無料オンライン授業)が拡大しています。

※「無料オンライン学校」「無料オンライン大学」「オンライン教育サイト」などと訳されています。

アメリカの大学を中心に、無料のオンライン講義が公開されており、それに東大などが参加を決めたことで日本でも広く知られるようになりました。

大学の講義が聴講できる有名どころには、たとえばMIT(マサチューセッツ工科大学)が公開している「MIT Open Course Ware」、プリンストン大学とスタンフォード大学が協力して立ち上げた「Coursera」、アップルのiTunesを使った「iTunes U」などがあります。

ほかにも、中高生に向けた「Khan Academy」、個人が作ったコースも受講できる「Udemy」、Googleの現役プログラマからプログラミングを教わることができる「Udacity」、無料でプログラミングを学べる「Codecademy」などもあります。

また話題になっているのは、入試合格率1.7%という全米最難関といわれるミネルバ大学及びミネルバ大学院です。キャンパスを持たず、オンライン授業のほかは世界各地で探求的・実践的・協創的な教育を行っています。

世の中は学校だけではなく、知らない世界がまだまだたくさんあって、それを知ることに興味が持てれば、子どもが学校だけの中で閉じこもることはないし、勉強にしてもかえってやる気が出るのではないでしょうか。

◆親は未来を想像し、わが子の学習指導要領を作る

子どものお受験に関するブログなどを読んでいると、「とにかく有名大学に進学させること」が目的になっている人は少なくないようです。

また、子どもは子どもで周りの友達に影響を受けますから、「皆が受験する」「仲良しの友達が受験する」と聞けば、「自分も受験したい」と思うようになるかもしれません。

学校の先生も基本的に進学重視でしょうから、成績に応じた進学先を推薦するでしょう。

もちろん、子ども自身が明確な将来像に基づいて選んだ進路であればよいのですが、周囲からの同調や圧力、学校の先生が推薦したからそう希望したという場合、親も同意してよいものかどうか。

親自身が狭い世界しか知らないと、「この学校にしなさい」「このコースはダメ」となってしまいます。

しかし、多様な活躍の仕方があるということを知れば、それを子に伝えられ、子の選択にも幅が出るでしょう。

親の価値観は子に伝わります。一族や周囲にちょっと変わった起業家がいれば、それだけで影響がありますが、そういう情報を知らない家庭では、使われる人が再生産されるかもしれません。

そのため、親は成功へのルート、幸福へのルートがたくさんあることに気づき、30年後、40年後にも使える思考体系と行動体系とは何かを考えなければならないのです。
https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/b8c51cf2cf140c9027207e3c198bfd519c2ea01c