半導体メモリー大手のキオクシア(旧東芝メモリ)は25日、四日市工場(三重県四日市市)のフラッシュメモリーの新工場棟の起工式を開いた。データを保存する「記憶素子」を162層に積み上げた次世代メモリー向けの生産設備を導入する。設備投資は総額で1兆円規模になる見通しで、2022年内にも稼働する。

設備投資は協業先の米ウエスタンデジタル(WD)と共同で実施し、約5千億円ずつ折半する。工場建設は2期に分けて実施し、建屋面積は合計で4万平方メートルと同社の工場棟では最大の規模になる。

新工場で製造する「162層」の3次元フラッシュメモリーは既存の「112層」に比べて書き込み速度が2.4倍に高まるほか、チップサイズも4割小さくなる。高速通信規格「5G」の普及を背景に高速・大容量でのデータのやり取りが増えるのをにらみ、データセンターやスマートフォンの需要を開拓する。

キオクシアは北上工場(岩手県北上市)に隣接する約13.6万平方メートルの工場用地も取得している。21年春に土地の造成工事を開始し、22年春メドに完了させる。今後の需要増に合わせて機動的な増産投資ができる体制を整えている。

2021年2月25日 14:07
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ254NO0V20C21A2000000/